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校長からのメッセージ

岐阜工業高等専門学校 校長 伊藤義人

国立岐阜工業高等専門学校(岐阜高専)は、全国に51校ある国立高等専門学校の1つで、独立行政法人国立高等専門学校機構に所属しています。国立高専には、全国で約5万3000人の学生がいます。
 岐阜高専は、設立されて56年がたちますが、中学卒業生を対象に一般教養教育と工学の早期専門教育を5年間一貫で施すことによって、実践的技術者を育てる伝統ある学校です。卒業後は多様な選択肢があります。まず、技術者として企業人や公務員として活躍することができます。産業界などから、高い評価を受けています。また、2年間の高専の専攻科に進学するか、あるいは7大学を始めとして多くの国公立大学が3年生編入定員枠を提供しており、複数の大学の編入学試験を受けられますので、これらの大学に編入学して学士の資格を得ることもできます。その後さらに、大学院に進む道もあります。岐阜高専では、本科の5年間終了後、約半数の学生が専攻科や大学・大学院に進学します。このように、岐阜高専に入学すれば、自分の選んだ工学の専門分野について、早い時期に、より深く学ぶことができ、その後も自分に適した技術者、公務員および研究者など多様な道を選ぶことができます。この高専の教育システムは、国の内外で高く評価され、この制度を取り入れる諸外国も出てきています。
岐阜高専は、現在、機械工学科、電気情報工学科、電子制御工学科、環境都市工学科、建築学科の5つの専門学科と3つのコースを持つ専攻科(先端融合開発専攻)があり、人文・自然分野の一般科目と合わせて、経験豊かで優れた教授陣が教育と研究に当たっています。

入学式式辞

入学式

新入生の皆さん、ご入学大変おめでとうございます。  玄関のしだれ桜が満開の今日、ここに、国立岐阜工業高等専門学校に入学された新入生の皆さんと今日ご参列の保護者の皆様に、岐阜高専の教職員を代表して、心からお祝いと歓迎を申し上げます。新入生の皆さんを新たな仲間として岐阜高専にお迎えすることは、私たち教職員にとって大変喜ばしいことです。

 本日、5つの本科には208名の皆さんが入学されました。機械工学科、電気情報工学科、電子制御工学科、環境都市工学科に各42名、そして建築学科に40名が入学されました。ほかに、3年次編入の留学生1名、4年次編入の1名、専攻科36名の合計246名の方が本校に入学されました。本校の教職員一同、心よりお祝いし、歓迎いたします。

 本科の皆さんは、中学校を卒業されて岐阜高専に入学され高専生になりました。もし、高校へ進学されていれば、皆さんは中学校の時と同じように「生徒」と呼ばれますが、高専では大学生と同じ「学生」と呼ばれます。これは、皆さんが一般教養教育と実践的専門教育に主体的に参画し、責任と自覚を持って、今後高専で活動していただくためです。

また、高専においては、一般教養教育と実践的専門教育を受けるだけでなく、先生方との協働によって学術・工学の進歩向上を図るため、学協会での研究発表をすることもあります。この中で皆さんに重要なのが、健全な学生生活です。そして、この健全な学生生活に最も重要なのが健康です。健康に生活するための方法は、非常に単純です。よく眠り、しっかり朝食をとり、毎日1時間目の授業から出るという規則正しい生活をすることです。これを卒業するまでずっと続けることが、健全な学生生活を送れる基本と確信しております。

私は、名古屋大学から岐阜高専の校長として赴任して4年目に入りました。この3年間で種々の経験をしましたが、岐阜高専の教育・研究および社会貢献の水準をさらに高度なものとすることに努め、また、クラブ活動や全国高専のコンペティションやコンテストなどの実践的な課外活動を快適なものにして、皆さんが岐阜高専を卒業するとき、「岐阜高専で学んでよかった」と心から思えるような学校にしたいとずっと考えています。これまでの岐阜高専の56年間の歴史に、新たなものを加え、是非一緒に岐阜高専の新しい伝統を創っていきたいと思います。

私の40年前の学生生活とその後の研究者・教員の経験から、皆さんにお願いと助言を3つしたいと思います。

まず、1つ目は、学内はもとより日常において、しっかりと挨拶をしてください。皆さんは、将来技術者(Engineer)になりますが、コミュニケーション能力の涵養は、社会に出てから非常に大事です。挨拶は、コミュニケーションの始まりです。学内では、全ての先生方や来客だけでなく学生どうしも、自然な形での挨拶をしてください。

2つめ目は、多感な学生時代において何事にも興味を持ち、積極的に勉学を始めとする諸活動に取り組んでほしいということです。皆さん方は、工学を学びますが、スポーツや芸術、また、自然に触れることも非常に重要です。私の趣味の1つは、バードウォチングで、日本野鳥の会のあおぞら会員です。昨年度1年間で岐阜高専内でだけでも、カワラヒワ、ヒヨドリ、ツグミ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、シジュウカラ、メジロ、モズ、コゲラ、コサギ、アオサギ、ジョウビタキ、オオタカなどの20数種の野鳥を観察しました。この時期に、キャンパスの中で多く見られるツグミとカワラヒワは、今年はいつもより少ないようです。野鳥は、姿だけでなく繁殖時の鳴き声、すなわちさえずり、英語でsongと言います、また、それ以外の地鳴き、英語ではcallと言いますが、これらを聞き分けるとさらに楽しめます。生垣の中などでオスだけが鳴くウグイスのさえずりは、有名な「ホーホケキョ」ですが、冬のあいだのオス・メス両方が鳴く地鳴きは、「チャッチャッ」です。校内の恵まれた自然環境を楽しんでください。

何事にも興味を持ち、自ら教養を高めるために高専教育の中での専門書以外の本も是非とも読んでください。教養は単なる知識ではありません。「生きる力」につながるものです。私は、前任の名古屋大学で附属図書館長を9年間務めましたが、その時の学生アンケートで、30%以上の学生が勉学に関係する以外の本を全く読まないという結果を得ました。最近の30大学の1万人以上の大学生の調査では、1日の読書時間が0分の率が50%を超えています。逆に、スマホを利用しない学生は0.8%という報告があります。スマホが悪いわけではなく、使い方によっては世界の図書館を持ち歩いているような使い方もできます。読書は、他者が経験したことや獲得したものを追体験でき、自分の世界を広げ、考える力を養うことができます。

3つ目は、学生時代に多くの友人を作り、同一の価値観を一生共有できる人達を多く持つようにしてください。私も、高校時代および大学・大学院時代の友人が多くいますが、社会に出てからできる友人とはまた違って、格別な役割を生涯果たします。特に何かの悩みや判断に迷ったとき、まずは周辺を整理整頓して、じっくりと問題を考え、その後、保護者、カンウンセラーや先生だけでなく、同世代の友人にも相談してください。学生時代にできた友人は大変貴重な存在になると思います。

最後に、高等教育機関である岐阜高専が文部科学省から平成26年から6年計画で直接採択され、今年度で終了予定の教育改革促進事業(AP、 Acceleration Program)の中で行っているアクティブ・ラーニングやその成果の可視化について簡単に説明します。アクティブ・ラーニングという用語は、まだ確定した定義はありませんが、教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学修法と言われているものです。学生の皆さんが、授業に主体的に参画して、対話的で深い学びをするものです。知識のみを追求するのではなく、問題発見や社会の変化に対応できる能力を養うものです。 人生の構想力、すなわちどんな人生を構想するかを常に考え、一度しかない人生を、どのように生きていくかを常に考えて、積極的に学修に取り組んでください。

新入生の皆さんが、快適で健全な学生生活をおくれるように教職員一同全力で支援をします。繰り返しになりますが、新入生の皆さんが岐阜高専を卒業するとき、「岐阜高専で学んでよかった」と思えるようにしたいと思っております。今後の学生生活を大いに楽しんでください。 本日は、入学誠におめでとうございます。

平成31年4月3日
国立岐阜工業高等専門学校
校長 伊藤 義人

卒業式式辞

卒業式

本日、早春のよき日に、ご来賓、保護者、関係者の皆様のご列席のもと岐阜工業高等専門学校の卒業式および修了式を挙行できますことは、私ども教職員にとりまして大きな慶びです。ここに、国立岐阜工業高等専門学校を卒業あるいは修了される学生の皆さんと今日ご参列の保護者の皆様に、岐阜高専の教職員を代表して、心からお祝い申し上げます。卒業生および修了生の皆さんを岐阜高専から送り出すことができることは、私たち教職員にとって大変慶ばしいことです。

 本日、本科生は196名が卒業し、専攻科生は38名が修了します。本科生は、機械工学科39名、電気情報工学科42名、電子制御工学科40名、環境都市工学科38名そして建築学科37名です。このうち、留学生は4名です。

 皆さんは、この5年間あるいは7年間、岐阜高専で、一般教育や実践的な専門教育だけでなく、種々の課外活動でも貴重な体験を沢山されたと思います。私は、岐阜高専の校長として赴任して3年が過ぎようとしていますが、この3年間、それまでの40年余りの名古屋大学におけるものとは異なる多くの貴重な体験をしました。学生が中心となって運営された高専祭の専門展における5学科の展示やプレゼンテーションは、毎年、大変立派で頼もしく感じました。岐阜高専が主管して一昨年12月に岐阜駅に隣接したじゅうろくプラザで開催した全国高専デザインコンペティションや、昨年8月に名古屋大学で開催した全国高専フォーラムなどでは、学生の皆さんが教職員といっしょになって大変活躍してくれました。また、一昨年度から岐阜高専は高専機構からグローバル高専の指定を受けて、多くの短期留学生を外国から受け入れて交流しただけでなく、皆さん方の中には外国へ留学され、貴重な体験をされた方々もいます。今年度から始めた米国シアトルへの10日間の研修旅行は、大変好評でした。また、国際セミナーESDPR&EE2019では、多くの専攻科学生が英語での口頭発表とポスター発表をしてくれました。外国から参加された教授などから、大変お褒めの言葉がありました。

これから、皆さんは就職、あるいは専攻科や他大学の大学・大学院に進学されますが、今後、多くの選択を迫られると思います。現時点では、想定できない、すなわち今までの延長線上に未来はない時代が来ているためです。そのときに、人生の構想力、すなわち今後どのように自分の人生を構想するかを常に考えるとよいと思います。一度しかない人生を、皆さんはどのように生きていくかを常に考え行動することです。人生の構想力を考え、何が自分を高めてくれるか、また、将来に渡って何をしたいかを明確にして、種々の選択をするとよいでしょう。

歳を重ねると、精神的に大きく成長変化して選択がしやすくなると考えがちですが、意外と20歳前後からほとんど変わらない芯の部分があるといわれています。今から自分自身を見つめ何を選択するかをじっくりと考えて、夢や志を実現してください。

今後、みなさんが多くの選択をするときに、大変厳しい時期を迎えるかもしれません。その時に、自分をゆったりと見直すことができるオアシスを持ってください。日頃のしがらみから解放され、心を平静に保ち、オアシスと感じられる心地よい空間と時間を持つことです。各個人によってオアシスは異なります。家族との時間あるいは趣味など種々のものが考えられます。 私個人のオアシスの例を挙げれば、家内とのコンサートや趣味のバードウォッチングなどの自然観察会参加です。日常の仕事とは全く関係のない、非日常の空間と時間を作っています。

 岐阜高専では、平成26年から6年計画で、文部科学省の教育再生加速プログラム(略称AP)に採択され、ICT教育環境の整備を進め、アクティブラーニングと教育成果の可視化をこの5年間推進してきました。すなわち、教員からの一方的な知識の伝達ではなく、学生の能動的な学習を取り込み、自ら学ぶことを学ぶ教育です。これは時代の変化に対応する力、あるいは自ら考え問題を解決する力をつけるものです。やり抜く力の源泉でもあります。ここ2年間の高専4。0イニシアティブの活動と相まって、皆さんには、十分に、社会で活躍できる力がついていると思います。

 大きな決断をするときに必要であれば、岐阜高専に帰ってきて、教職員に相談することも大いに歓迎します。高専で得られた友人や同窓会を大切にすることによって人的なネットワークができます。岐阜高専は、今後ずっと皆さんの心のふるさとであり、常に歓迎いたします。

夢と高い志を持ち、そのために日々のやるべき事を着実に行い、みのり豊かで、社会に貢献できる人生をおくられることを強く希望いたします。卒業生、修了生の皆さんのこれからの洋々たる前途を祝すとともに、今後のご活躍を心から祈って、校長式辞といたします。本日は誠におめでとうございます。

平成31年3月19日
国立岐阜工業高等専門学校
校長 伊藤 義人

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