next up previous contents
: カオスニューロンモデル : カオスニューラルネットワーク : ニューロン   目次


マカロック・ピッツモデル

ニューロンのどの性質に着目するかにより、ニューロンの機能をモデル化する方法は異なる。 ここではニューロンの細かな機能には拘泥せずに、 ネットワークを構成する一要素としてニューロンの機能を単純化したモデルを考える。

単純化したモデルを考えるに際して、ニューロンは以下の1ないし3の機能・性質を有するものとする。

  1. 他の多数のニューロンの電気信号がシナプスを介して膜電位を変化させる。
  2. 全か無の法則に従い膜電位の変化の総和が閾値を超えるとニューロンは発火する。
  3. シナプス可塑性

$n$個のニューロンの出力が、あるニューロンへ入力されているとする。 このときシナプスの信号伝達効率は一様ではなく、影響の強さは各個異なり、興奮性・抑制性の違いもある。 これをシナプス結合荷重 $w_i (1\leq i\leq n)$として表す。 結合荷重の絶対値の大きさが影響の強さを、正・負が興奮性・抑制性を表す。 また、結合荷重の変化がシナプス可塑性を実現する。

$i$番目のニューロンの出力を$x_i$と表すと、そのニューロンからの影響は$w_ix_i$と表される。 各ニューロンからの影響の総和が閾値$\theta$を超えるとニューロンが発火し、 その出力を$y$とすると以下のように表現できる。


$\displaystyle \begin{array}{l}
y = f(u)\\
\displaystyle u = \sum_{i=1}^{n}{w_ix_i}-\theta
\end{array}$     (2.1)

$u$は式(2.1)の通り、他の各ニューロンによる影響の総和から閾値を引いたもので、 内部ポテンシャルなどと呼ばれる。

$f(u)$は出力関数であり、階段関数(式(2.2)、図 2.2)を 用いることで全か無の法則を実現する。


\begin{displaymath}
f(u) = \left\{
\begin{array}{ll}
1 & (u > 0)\\
0 & (u \le 0)
\end{array} \right.
\end{displaymath} (2.2)

図 2.2: 階段関数
\includegraphics[scale=1.0]{eps_file/step.eps}

ちなみに、これが1943年にマカロックとピッツによって提案されたニューロンモデルであり、 これを視覚化したものが図 2.3である。

図 2.3: ニューロンモデル
\includegraphics[scale=1.0]{eps_file/neuron_model.eps}



Deguchi Lab. 平成20年2月29日