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結論

浅川が提案したカオスニューロンを使用する学習法は ネットワーク内の個々のニューロンが単独で自分の内部状態から判断して 逐次的に学習を行なっていく学習法である。 この学習法には、結合荷重に従来の学習法にはない特徴を与える。

本実験では、その特徴の中で結合荷重の取り得る値の数が従来の相関学習に比べ 多くなることについてと、結合荷重の分布について調べた。 また、結合荷重の取り得る値を減らす処理及び、 結合荷重の分布を調べる際に量子化の処理を用いた。

始めに量子化を加えることでネットワークの学習成功数に与える影響を調べた。 その結果、量子化を学習中に加えると学習成功数に影響を与えやすく、 学習終了後に加えるとネットワークには さほど影響を与えないと言う結果が得られた。 これは、学習中の結合荷重の変化量に対し量子化幅が多き過ぎると、 変化した結合荷重が量子化により元に戻されてしまうことが原因だと考えられる。

また、量子化幅が広くなると学習成功数が減る結果となった。 しかしながら、逐次学習法により学習を行ない 結合荷重に量子化を加え、従来の相関学習によって得られる結合荷重と 取り得る値の数をほぼ同条件としたネットワークの学習能力は 従来の学習法の学習能力よりも遥かに優れていた。

このことから、逐次学習法の結合荷重の取り得る値の数が 従来の学習法に比べ多いことから 学習能力得ているのではないと考えられる。

そこで、結合荷重の分布が逐次学習法で学習を行なったネットワークと 従来の相関学習とは異なるのではないかと考え、 その比較を行なった。 また、すべての学習終了後に量子化をネットワークの結合荷重に加えても学習が可能という結果が得られているので、 相関学習と比較しやすいように、 逐次学習法によって学習を行なった ネットワークに量子化の処理を行なった。

その結果、学習パターン数が少ない時は 分布の差がさほど見られなかった。 しかし、学習パターンを増やしていくと、相関学習と 逐次学習法で学習を行なったネットワークでは結合荷重の分布が 異なるという結果が得られた。

この分布の違いは逐次学習法が、 学習条件が成立するたびに学習を行なうため 相関学習に比べ結合荷重の変化回数が多いことに起因するのではないかと考えられる。

以上の結果から、逐次学習は個々のニューロンが逐次的に学習を行なうことで 従来の相関学習とは異なる結合荷重の分布を 作り上げ、学習能力を得ているのではないかと考えられる。

謝辞

最後に本研究を進めるに当たり二年間を通して多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く感謝すると共に,同研究室において共に学んだ古田彰吾氏に厚く御礼を申し上げます.



Toshinori DEGUCHI
2005年 2月17日 木曜日 19時40分14秒 JST