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カオスニューロンモデル

  合原らのヤリイカの巨大軸索を用いた電気生理実験により、実際のニューロンは 容易にカオスを生成することが示された。[4] しかし、従来のモデルの応答は絶対安定点にたどり着くか、周期解となる。 これは、従来のモデルでは考慮していなかった実際のニューロンの特性が、 カオスの生成に寄与しているためと考えられる。

2.2節のモデルのように、ニューロンの活動電位生成過程が 全か無かの法則に従うことは常識であり、これまではそれに基づいてモデルが 作成されてきた。 しかし、これは伝搬性活動電位に関するものであり、空間固定の状態では、実際の 活動電位生成過程は、厳密には全か無の法則には従わず、急峻ではあるが連続的に 応答の大きさが変化する。 つまり、ニューロンのカオスは、全か無かの法則の不成立のために成立するのである。

合原らは Caianiello-Sato-Nagumo モデルの出力関数を連続関数に変更した カオスニューロンモデルを提案している。 このモデルを式 (3.2)に示す。

  equation160

ここで、x(t)は時刻tにおける出力、A(t)は時刻tにおける入力刺激の大きさ、 tex2html_wrap_inline1507 は不応性のスケーリングファクタ( tex2html_wrap_inline1509 )、kは 不応性の時間減衰定数 tex2html_wrap_inline1513tex2html_wrap_inline1437 はしきい値を表す。

出力関数fは図 3.4のようなシグモイド関数を用いる。 この関数は式 (3.3)で表される。 この式において、uが入力値、 tex2html_wrap_inline1521 は急峻さを決めるパラメータである。

   figure170
図 3.4: シグモイド関数

  equation177



Deguchi Lab.