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結論

  浅川が提案したカオスニューラルネットワークに対する学習法は、逐次的に入力 されるパターンが既知であるか未知であるかをネットワークが判断し、 既知であれば想起、未知であれば学習するものである。 本研究では、この学習法においては、未知パターン学習時に、学習済みのパターンに よってできた結合荷重値を利用する、そして結合荷重値のとる値の数が多いため、 より適切な結合荷重分布を形成できると予想し、これらが記憶できるパターン数が 多い原因であることを確かめた。

その結果、パターン間の相関が高い方が記憶できるパターン数が多く、各パターン 入力中の結合荷重値の変化分の全てが、その入力パターンを完全に記憶している わけではないことがわかった。 これより、未知パターンの学習に、学習済みのパターンによってできた結合荷重値を 利用し、1パターン学習するのに必要な情報量を抑えることで、より多くの パターンを記憶できると考えられる。 また、相関値が高いと学習に要するセット数が非常に増えることが分かった。

結合荷重値を量子化した場合、相関値50%の場合はほとんどのパターンを 記憶していることができたが、相関値が高い場合は量子化によって記憶しているパターン数が大きく減少した。 このとき、量子化後に想起に失敗したパターンの入力パターンとの一致率は、 相関値50%の場合を除けば相関値が高いほど高い。 また、相関値の高いパターンを学習させた場合、内部状態に与える影響の弱い、 絶対値の小さな結合荷重値が多く形成される。 これらから、パターン間の相関の高低により、結合荷重分布の中で 情報が記憶される値域が異なることが考えられる。 そのため、必ずしも結合荷重値のとる値が多い必要はなく、多くの情報が 記憶されている部分に細かく結合荷重値をとれば、少ない結合荷重値の値でも 多くのパターンが記憶できると考えられる。 このように、結合荷重値の値の数は必ずしも多い必要がないとすれば、 結合荷重値の変化回数も多い必要がなく、 学習条件や内部状態の値に応じ、結合荷重値の変化分の値を変化させるなどの方法で、 より速やかに適切な結合荷重分布を形成し、相関値が高くとも、比較的少ない学習 セット数で学習できるような学習法が期待できる。

謝辞

最後に、本研究を進めるに当たり、多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く 感謝するとともに、同研究室にて助言をいただいた専攻科の古田彰吾氏、 共に学んだ家入悠至氏、平田紀史氏に厚く御礼申し上げます。



Deguchi Lab.