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ニューロンモデル

  ニューロンの動作は、ニューロコンピューティングの立場からすれば、多入力-1出力 の非線形素子といえるが、実際には精緻な分子機構に基づく複雑な高機能素子であり、 たいへん豊富なダイナミクスを有する。 しかし、ニューロンの持つ機能を全て忠実にモデル化しては、 そのダイナミクスが複雑になり、かえって重要な原理を見落としかねない。 ニューロンの持つ機能のうち、必要なものを見極めてモデル化することで、脳における 情報処理の重要な原理の見通しがよくなる。

ニューロンのモデルとして歴史的に重要なものに、1943年のマカロック-ピッツ (McCulloch-Pitts)のモデルがある。

   figure22
図 2.2: マカロック-ピッツのモデル

マカロック-ピッツのモデルを図 2.2に示す。 tex2html_wrap_inline1425i番目のニューロンからの入力、 tex2html_wrap_inline1429 はその入力の シナプス結合の強さであり、i番目のニューロンが及ぼす影響は tex2html_wrap_inline1425 tex2html_wrap_inline1429 と表される。 tex2html_wrap_inline1437 はニューロンの発火のしきい値である。 以上のことを式で表すと、次のようになる。

   eqnarray30

式 (2.2)で表されるuを膜電位、あるいは内部ポテンシャルという。 出力関数f(u)はマカロック-ピッツのモデルでは図 2.3に示す 単位ステップ関数で、次のように表される。

  equation40

   figure46
図 2.3: ニューロンモデルの出力

このように、出力として0, 1の2値をとるようなモデルを、入力の線形和 ( tex2html_wrap_inline1443 )がしきい値( tex2html_wrap_inline1437 )を越えた時のみ1を出力することから、 線形しきい値素子モデルという。 また、このようにしきい値を境にして、活動電位の発生、非発生が不連続に 分かれるダイナミクスを、全か無かの法則(all-or-none law)という。



Deguchi Lab.