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第1章 序論

ニューラルネットワークは生物の脳神経細胞をモデル化したものである。 そのため、ニューラルネットワークは脳が有する機能を実現出来るのではないかと 考えられる。実際に、脳神経細胞をモデル化したネットワークは 画像処理やパターン認識等の分野において活躍している。

従来のニューラルネットワークでは 入力に対応するネットワークの出力情報を、 特定のニューロンの出力、例えば発火率で表現していたと考えられる。 しかしある外部信号に対する出力が、発火率ではなく ニューロン間の発火の相関によって表現されているのではないかという考え方がある。 このようなネットワークでは、ネットワークの出力は発火している ニューロンの組合せとして表現される。 この発火しているニューロンの組合せは入力に応じて動的に形成されるため、 このような集団は動的細胞集成体と呼ばれる[1]。

動的細胞集成体を実現するためには、ニューロンの出力を 入力の相関で決定する必要がある。 しかし従来のニューロンの出力は入力の大きさ、頻度のみによって決まる。 そこで動的細胞集成体を実現する一つの手段として、 ニューロンをニューロン間の信号の 伝達にかかる時間を考慮した同期ニューロンとすることが考えられる。

そこで本研究では動的細胞集成体の基礎研究として、同期ニューロンによる ニューラルネットワークについて実験を行なう。

同期ニューロンによるネットワークの動作を確認するため、 ニューロンに特定の周波数の信号を検出させる(第5章)。 また、同期ニューロンによるニューラルネットワークにおけるニューロンの 学習原理を考え(第4章)、 実際に入力した信号を学習させる(第6章)。



Deguchi Toshinori
1999年03月16日 (火) 16時39分45秒 JST