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遅れ学習法 [6]

前節の方法では出力結果が教師信号に近くなってきた場合、 内部記憶層から中間層への結合荷重に対する影響は小さくなり 学習が非常に緩やかなものになる可能性がある。 そこで、本研究室で考えだされた学習法を用いる。 この方法では誤差信号を大きくするために 時間ステップ $t$ における結合荷重を変化させずに 誤差信号だけ伝播して、 $t-1$ におけるネットワークの状態を学習させる。 これを遅れ学習法と呼ぶ。

図 4.2: 内部記憶を持つニューラルネットの学習
\includegraphics[scale=1.2]{naibu_study.eps}

4.2 を用いて詳しく説明すると、 ある時間ステップ $t$ の中間層への入力値の一部は、 時間ステップ $t-1$ の出力層が出力したフィードバックする出力値そのものである。 よって、時間 $t$ における中間層の一つ前の層と言うのは、 時間ステップ $t-1$ における学習出来なかった出力層ということとなる。 そして、 時間ステップ $t$ の中間層から時間ステップ $t-1$ の出力層へ誤差伝播を行い、 そこで学習できなかった中間層から出力層への結合荷重の学習を行っている。 つまり時間$t$における教師信号によって学習できる結合荷重a, c, dの値を変化させず、 誤差信号だけを時間ステップ $t-1$ における中間層へと伝播する。 これと $t-1$ における教師信号を利用して、結果的には結合荷重e, f, g, hを変化させる。 同様の処理を繰り返し、時間ステップ$t-2$$t-3$$\cdots$$t-n$へと伝搬することができる。 今後、誤差を時間ステップ$t-n$まで伝搬して学習する事を遅れ時間$n$で学習すると言う。



Deguchi Lab. 2011年3月3日