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結論

本研究では、カオスニューラルネットワークにおける逐次学習法を使用する際、 入力パターンにノイズが無い場合にはカオスニューロンのパラメータである 時間減衰定数を考えなくても良いのではないかという仮説から、それが成り立つのかを研究した。 時間減衰定数を考えなくても良いならば、カオスニューラルネットワークの 内部状態である外部入力の項、相互結合の項、不応性の項を表す式でそれぞれ時間減衰定数を省くことができるようになる といったメリットがある。

研究した結果から、カオスニューロンのパラメータである時間減衰定数を0にした場合、 そのほかのパラメータをそのままにした状態で逐次学習を行うと、学習がうまくいかなくなることがわかった。 これはカオスニューラルネットワークの内部状態である3つの項が影響を受けてしまいバランスが崩れたためだと考えられる。 そこで時間減衰定数以外のパラメータである$\alpha $ $\mathit {\Delta } w$を変化させることで 時間減衰定数を0にした場合の学習結果を向上させることができた。 また、これにより時間減衰定数を0にした状態で時間減衰定数を考える場合の 最大完全学習数の限界と同じ最大完全学習数を示すことができた。 同じ最大完全学習数を出すことができたということは、ほぼ同じ学習結果を示すことができたといえる。

以上の結果により、逐次学習を行う際、入力パターンにノイズが無く、 かつ適切な$\alpha $ $\mathit {\Delta } w$の値を用いるならば時間減衰定数を0としても 時間減衰定数を考える場合と同じ効率で学習が行えるということがわかった。

しかしこの$\alpha $ $\mathit {\Delta } w$は素子数、学習回数などによって変化すると考えられる。 そのため今後は素子数、学習回数などによる$\alpha $ $\mathit {\Delta } w$の変化も調べる必要がある。

謝辞

最後に本研究を進めるに当たり、一年間を通して多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く感謝するとともに、共に学んだ、小島寛樹氏、吉村建慶氏、吉田靖司氏に厚く御礼申し上げます。



Deguchi Lab. 2011年3月4日