next up previous contents
Next: 第5章 学習法 Up: 第4章 カオスニューロン Previous: 4.3 カオスニューラルネットワークのモデル

4.4 シナプス前抑制による制御

 

カオス状態をコントロールする方法として、 4.3に示した パラメータ tex2html_wrap_inline1484 を変化させる方法とシナプス前抑制による制御方法がある。 tex2html_wrap_inline1484 を変化させる方法は時空間的に過去のニューロンの出力を 扱うことによって間接的に制御を行うものであるのに対し、シナプス前抑制は、 直接的にニューロンの結合部を変化させることにより抑制を行うものである。 本研究でもこのシナプス前抑制による制御を採り入れる。

   figure256
図 4.4: シナプス前抑制

シナプスとは、神経細胞と神経細胞の結合部分のことをいい、 一般に、

  equation263

X'
: シナプス後細胞へ送られる信号。
w
: シナプス結合荷重。
X
: シナプス前細胞の信号。

とモデル化される。

次に、シナプス前抑制とは、 実際の神経回路網にも観られるもので、 興奮性シナプスのシナプス前終末を脱分極させ、 興奮性シナプスから放出される信号の量を制御することにより 抑制をかけるものである[7](図 4.4 )。

これは、 式(4.13)のシナプス結合荷重 w を制御するものと考えられる。 また、本来シナプス前抑制は、興奮性シナプスのみに働くものであるが、 本研究においては、興奮性、抑制性に問わず一様に働くものとし、 次式のようにモデル化した。

  equation271

tex2html_wrap_inline1496
: シナプス結合荷重のパラメータ(シナプス前抑制関数)。

ここで、シナプス結合荷重 tex2html_wrap_inline1498 を カオスニューロンモデルの式(4.11)に考慮することによって、 次式(4.15)のようになる。

  eqnarray278

よって、本研究に用いるシナプス前抑制を考慮したカオスニューロンモデルは、 式(4.10)(4.15)(4.12)によって決定される。

また、 tex2html_wrap_inline1500 となると抑制している事にはならない。 この状態を``シナプス前抑制の緩和''という。



Deguchi Toshinori
1997年03月04日 (火) 08時34分02秒 JST