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ニューロン[2]

ニューロン(neuron)とは日本語では神経細胞と訳され、 脳に存在する神経系を構成する細胞の事を指す。 このニューロンの機能は情報処理と情報伝達であり、 構造としては図 2.1のような形状をしている。

図 2.1: 生体ニューロンの構造
\includegraphics[scale=1]{cell.eps}

ニューロンは大きく3つの部分に分けられ、 核が存在する細胞体(cell body)、 ニューロンの入力である樹状突起(dendrite)、 伝送路にあたる軸索(axon)がある。 それぞれについて説明すると、細胞体は遺伝子情報の保存と伝達をおこない、 軸索とは活動電位(細胞の内外で刺激により変化した電位差)の伝導や神経の終端と細胞体の物質交換を行って、 樹状突起は外部からの刺激や他の神経細胞の軸索から送り出される情報を受け取るために突起したものである。 これらによって構成された神経細胞の間にはシナプスと呼ばれる構造(結合部分)がある。

ニューロンは人の脳の中に100億から1000億個あるといわれ、 ニューロンは立体的に多数集まり、回路網を形成している。 そこでニューロンは多数の入力信号をもとに計算を行い、 結果を軸索から他のニューロンに伝える。 伝達されるニューロンの信号について説明を行う。 通常ニューロンの内部の電位は外部に比べて少しだけ低く 外部からの入力信号が到着すると内部の電位が少し変化する。 そして、変化分が本体で総和され、 総和が閾値を超えた時にニューロンが興奮し、 電位が高くなる。 急に電位が高くなる現象の事を発火と言う。 この時に生じたパルスの信号を用いて他のニューロンに伝達を行う。 外部からの入力によって電圧が少し変化すると述べたが、変化には正と負のものが存在し、 正であるニューロンは発生したパルスによって他のニューロンを興奮させようとし、 逆に負であるニューロンは発生したパルスによって興奮を抑えようとする。 これから、ニューロンは他のニューロンの信号を受け取り、 重み付きの総和した結果をもとに発火するかしないかを決めている。

このニューロンを数学的モデルにしたものを図 2.2で示す。

図 2.2: ニューロンの数理モデル
\includegraphics[scale=1]{neuron.eps}

このニューロンには $n$ 個の入力信号 $x_{1},x_{2},\ldots ,x_{n}$ を受け取り総和を$y$、 出力を$z$とする。この時、 生体モデルで電圧の変化は正と負があると言ったように結合荷重(connection weight) と呼ばれる重みを使用し、$i$番目の入力信号に対する結合荷重を$w_{i}$をする 。これにより単純に$i$番目の入力の影響は$w_{i}x_{i}$となる。 これを総和すると以下のような式で表す事が出来る。


$\displaystyle \sum^n_{i=1}w_ix_i$     (2.1)

ニューロンは閾値$\theta$よりもこの総和が大きいときに発火する。 すなわちパルスの出力を返すことよりニューロンの出力$z$は以下の式で書かれる。


$\displaystyle z = f_s(\sum^n_{i=1}w_ix_i - \theta)$     (2.2)

この式で使用されている伝達関数$f_{s}$とはシグモイド関数のことであり、 シグモイド関数の入出力の関係を図 2.3で示す。

本来であれば、ニューロンは$1$$0$しかとらないため階段関数が適切であるが、 後述するバックプロバゲーションの際に伝達関数を微分する必要がある。 そのため階段関数は微分不可能であるため、扱いが難しくなる。 よってニューロン伝達関数はシグモイド関数を用いるというのが一般的である。

図 2.3: シグモイド関数
\includegraphics[scale=1]{sigmoid.eps}



Deguchi Lab. 2012年3月9日