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2.1 研究史

神経回路網に類似したメカニズムによる情報処理の研究は、 脳の情報処理様式を明らかにする研究としてはじまり、 20世紀初頭カハール(Cajal)らによって、 脳の神経回路網がたくさんの神経回路(neuron:ニューロン)の 結合したものであることや、神経細胞の中を電気的なインパルスが 伝搬することによって、情報が伝達されていることなどが明らかにされた。(図 ##10>)

こうした解剖学や生理学の成果に触発される形で1943年にマッカロ(McCulloch)と ピッツは(Pitts)が非常に簡単な神経回路のモデルを提案し、 それを小数結合した回路網によって論理関数の計算ができることなどを示した。 その直後からランダムに相互結合したネットワークの振舞いについての研究も行なわれるようになった。 一方、心理学では条件反射の研究などから、 神経回路による学習の研究が行なわれており、 1948年にはヘッブ(Hubb)によってシナプス結合(神経細胞間の結合)の 変化規則が提案された。そしてこれらの研究の進展を受けるようにして1958年には 階層型神経回路網を用いた学習するパターン認識機械であるパーセプトロン(Perceptron)が ローゼンブラット(Rosenblatt)により提案され、 1969年頃からは何人かの研究者によって独立に相互結合型のネットワークによって 連想記憶のモデルを実現するアイディアがだされた。

このあと神経回路網の限界を示す研究などが発表され研究熱が冷めたこともあったが、ホップフィールドによる相互結合型ニューラルネットの研究やローゼンブラットによるバックプロパゲーション(Back Propagation)の発表などで再び研究が活発になった。最近では素子の特性にカオスを的振舞いをする要素を導入する研究やニューラルネットワークを機械制御に使う研究もなされている。[###1#]

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図 2.1: 神経細胞の構造



Deguchi Toshinori
Wed May 15 11:03:10 JST 2002