著書によれば、コンピュータシステムの受容性を最上位概念とし、その下位概念の中の有用性(usefulness)という項目の中にユーザビリティが存在するとしている。 ここで言うシステムの受容性とは、システムがユーザ及びそのクライアントや管理者すべての要求を満たしているかという事である。図 2.1にシステムの受容性を簡単に図式化したものを示す。
また、有用性の項目ではそのシステムで一定の目標が達成できるかどうかという点に着目しており、その中でさらにユーティリティ(utility)とユーザビリティの二つに分けて分析を行っている。ユーティリティは原則としてシステムの機能性が要求を満たしているかという問題を扱い、一方のユーザビリティはその機能をユーザがどのくらい便利に使いえるかという問題を扱う。
ユーザビリティは次の五つの項目から構成される。
システムは、ユーザがそれを使って作業をすぐ始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない
システムは、一度ユーザがそれについて学習すれば、あとは高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである
システムは、不定期利用のユーザがしばらく使わなくても、再び使うときに覚え直さないで使えるよう、覚えやすくしなければならない。
システムはエラーの発生率を低くし、ユーザがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。
システムは、ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう、楽しく利用できるようにしなければならない。
これらの定義は必ずしも網羅的、かつ相互排他的になっておらず、概念定義としては十分なものではない。 また、それぞれの品質要素は、学習のしやすさや効率などの諸側面において問題がないようにと考えられており、いわばnon-negativeな特性の集合となっている。 言い換えれば、Nielsen氏におけるユーザビリティは、そのような問題点がないことを意味しており、ネガティブな側面を0レベルまで向上させるという意味合いを持っている。それに対しユーティリティは、機能や性能のように製品やシステムのポジティブな側面を示す。言い換えれば、0レベルからプラスの方向に製品の魅力を増してゆくものである。