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結論

今回は、個々のニューロンが自分自身の内部状態により結合加重を変化させるかどうかの判定を行い、追加学習をさせる逐次学習を用いて研究を行った。 逐次学習については過去の研究でも多く扱われていた。 学習する入力パターンとして「1」と「$-1$」の比率を50:50として行ってきたが、 この比率には特殊な結果が得られることが分かった。 そのため、この比率を変更した場合、異なる結果が出てくると考えられた。 そこで、本研究では、2値の比率によって、それによって学習にどのような影響を及ぼしているのかを調べた。

比率を30:70、40:60と49:51で乱数を生成し、それぞれ入力パターンを組んで行った。 その結果、途中で完全に想起できなくなった後、急激に想起成功回数が減少し、 パターン数を増加させても5前後の想起成功数に収束した。 この収束した値は、パターン数を600まで拡張させて調べても変わらなかったことから、 パターンをいくら増加させても変化することはないと考えることができる。 また、各比率の最大想起成功数を比べてみると、49:51の比率の方が他の場合に比べ、 想起できているパターン数が多いことが分かる。

以上の結果から、入力パターンの2値の比率を変更することで、 学習に影響を与えているのは確かであることが考えられる。 また、パターン間の比率が平等であるほど最大で想起できる数は増加していくことも併せて考えることができる。 今まで入力パターンの比率を50:50としてきた実験において、 比率を変えることによって結果が変化する可能性がある。

今後の検討として、素子数を増加させ、比率を変更させたた場合の学習への影響、最大想起成功数の増減を調べる必要がある。 また、今回は導入した乱数の偏りを調査し、偏りはほぼみられないとしたが、 反対に、配置をわざと偏らせた場合はどのように影響するのか調査する必要がある。

謝辞

最後に本研究を進めるに当たり、一年間を通して多大なご指導を賜りました出口利憲先生に深く感謝するとともに、同研究室において助言をいただいた専攻科の高橋季希氏、また、同研究室においてともに学んだ小栗友哉氏、マーティンセンマイケル誠氏に厚く御礼を申し上げます。



Deguchi Lab. 2015年3月4日