まず、単純に予測日の前日と天気パターンが類似している日を1日選択して気象予測を行う方法と、複数日で天気パターンの類似度を考慮し、複数の類似している日を選択するように改善した予測方法で予測精度を比較した。また、気象庁の予測精度の公称値と比較することでこの予測手法の有効性を検証した。
その結果、改善前の予測方法と改善後の予測方法では降水の有無の適中率、気温の予測誤差ともに大きく改善されたことで、以上の改善方法が有効であったことが確認されたが、実験で行った予測精度は気象庁の予測精度の公称値と比べて遥かに悪いという事が分かった。
その後、東日本5地点、西日本5地点の気象予測を行い、各地点における予測精度の分析を行った。
その結果、大部分の観測地において春や秋には予測精度が悪く、夏には予測精度が良い結果になったことが確認された。
最後に、自己組織化マップに入力する観測データの個数を減らし、気象予測にどの程度の観測機器が必要であるか確認した。
その結果、予測が必要なデータを観測する機器のみを用意すれば、本研究の予測方法で気象予測が可能であるということが分かった。
以上の結果から、本研究の予測手法は、予測アルゴリズムの改善によって予測精度の改善が可能であるが、まだ予測システムの実装としては不十分であることや、予測精度が高い時期と低い時期があることが分かった。
今後の課題として、今回の実験の結果を参考に学習ベクトル量子化の導入などで教師信号を付け、より予測精度を高める学習アルゴリズムを作成することが挙げられる。