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5.2.4 比較・検討方法

 

それでは、学習結果の比較・検討方法の説明をする。 比較は、学習結果が教師信号からどの程度離れているかを調べることによって行なう。 具体的な方法は以下の通りである。

  1. まず、カオスアトラクタを数点学習させる。
  2. 学習が終了した直後の各重み、しきい値、教師信号の値を保存しておく。
  3. 2.の学習結果から得られた重みを持つニューラルネットワークと教師信号に、同じく2.で得られた学習直後の教師信号を初期値として与え、 実際に動かしてみて教師信号とのエラーの大きさを調べる。
  4. 横軸に t、縦軸にニューラルネットワークの出力と教師信号との距離の累計をとりグラフを描く。
  5. 4.で描いたグラフから、学習がどれだけ誤差が少ないかを検討する。
  6. 学習回数を変えて、それによってどのようにグラフの形が変わるかを検討する。

学習させたニューラルネットワークに初期値として学習させた直後の教師信号を与える理由は、 カオスアトラクタの一度通った点は二度と通らないという特徴を考えると、学習直後の教師信号を初期値で与えれば、 まだ学習を行なっていない未知の点についてその学習効果を確かめることができるためである。 即ちこれは、ニューラルネットワークがカオスアトラクタの点を学習しているのではなく、式のダイナミクスを学習しているかどうかを確かめるということになる。

また、ネットワークの出力と教師信号の誤差は、ある時間 t における写像の中にあるその距離を考える。 この誤差(距離)を tex2html_wrap_inline1352 として、ネットワークの出力を x(t)、y(t)、教師信号を tex2html_wrap_inline1358tex2html_wrap_inline1360 とすると、

  equation354

となる。 グラフは、tを横軸、誤差の累計 tex2html_wrap_inline1364 を縦軸にして描く。 tex2html_wrap_inline1364 は次式によって表される。

  equation358

このERより、どれだけの点の位置を学習できているか、即ちどの程度式のダイナミクスを学習できているかが分かる。



Deguchi Toshinori
1996年10月08日 (火) 16時08分54秒 JST