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第1章 はじめに

ニューラルネットワークは、 画像処理、パターン認識などの分野において、 近年大いに活躍している。 ニューラルネットワークとは、 神経細胞をモデル化したニューロンでネットワークを構成し、 人間の脳の動作をコンピュータで再現しようとするものである。

しかし、 実際にモデル化されているのは 神経細胞のごく基本的な機能の部分でしかなく、 実際の神経細胞とは大きく隔たりがあるといえる。 このニューロンモデルを より実際の神経細胞に近づけようとしたものに、 カオスニューロンモデルがある。 これは、 従来のニューロンに、 神経細胞から検出されているカオスを導入したものである。

自己相関型の連想記憶によりパターンを学習した カオスニューラルネットは、 学習したパターンを含む非周期的なパターン列を想起することができる。

カオスニューラルネットワークを用いた連想記憶の検索を、 相互相関型の連想記憶を用いた周期的な記憶に対して適用し、 検索が成功することは 去年報告されている。[1]

奈良らはシナプスの結合数を変化させることにより、 周期的な連想記憶において、 カオス状態を発生させ、 周期的な連想記憶の検索が行なえることを報告している。[2] また、奈良らと同じ周期パターンを用いて、 カオスの激しさの制御にシナプス前抑制を用いた 周期的な連想記憶の検索は、 検索の早さの点では劣っているものの、 検索の成功率では優れていることが報告されている。[1]

本研究では、 そのシナプス前抑制によるカオスの制御を用いた ネットワークモデルを使って、 特定のパターンの検索を行なう。 パターンは奈良らが用いたものと同じ30の似顔絵パターン[2]を用いる。 その30のパターンを6周期、5種類の周期記憶として用いている。 そして、 この5種類のパターンの中から、 目的のパターンが検索できるかどうか調べる。

また、 入力した特徴によっては、 目標のパターンが検索されず、 パターンの白黒が反転したパターンが検索されることがあった。 そのため、 ネットワークに、 反転パターンを検出し、 反転パターンに収束しないようにする機能を取り付け、 同様に、目的のパターンが検索できるかどうか調べる。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 09:01:14 JST 2000