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3.1 カオスとは

カオス(chaos)は、日本語では「混沌」や「無秩序」と訳され、 最近になって科学、工学の分野でも使われるようになった言葉である。

カオス現象の例を挙げると、炎のゆらめきや海岸に打ち寄せる波、 風によってなびく旗などがある。 これらはどれも身の回りにある現象であり、 一見何の規則性もなくランダムのように見える。 しかし、 実はそのすべては簡単な方程式で表現できるものと考えられている。

現在、決定論的力学系に見られる不規則でかつ複雑な軌道が、 カオスと総称されている。[4]

また、 カオスは生体の活動に対しても重要な役割を占めている。 例えば心臓の鼓動などがそれにあたる。 心臓の鼓動は常に一定ではなく、強くなったり、弱くなったりしている。 刻々と変動していく予測のできない自然の環境の変化に対して、 一定の鼓動であるよりも柔軟に対応できるようになっている。

カオスの定義は様々な研究者によってなされているが、 それらを総じて要約すると、カオスとは、

「決定論的なシステムがつくり出す非周期振動」
という現象であるといえる。 ここでいう決定論システムとは、 破ることができない不変の法則からなる系という意味であり、 非周期振動というのは、 専ら偶然に支配される確率論的な運動という意味である。 すなわちカオスは、 不変の法則に支配される系にありながら 法則性のない予測不可能な非周期的振舞いということである。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 09:01:14 JST 2000