結論

本研究では、オセロまたはリバーシと呼ばれるゲームの既存の棋譜データから、各手数での盤面評価を行う畳み込みニューラルネットワークをTensorFlowを用いて構築した。 また、従来のパーセプトロンと畳み込みニューラルネットワークの誤差の比較、学習の最適化手法であるドロップアウトを設定することによりどれほどの誤差の減少が図れるかについての検証を行った。

パーセプトロンと畳み込みニューラルネットワークを比較した結果を見ると、畳み込みニューラルネットワークを用いることで、パーセプトロンよりも高い精度で盤面を評価できていることがわかる。 このことから、当初の第1目標であったTensorFlowを用いてデータを扱うことには成功したと考えられる。 しかし、畳み込みニューラルネットワークは、パーセプトロンと比較すると、内部的に行っている処理が複雑であり、その分、処理にも多大な時間がかかる。また、あまりにもサンプルとなるデータ数が少ないと、過学習が発生してしまう欠点もある。

ドロップアウトを設定することでどれほどの誤差の減少が見込めるかについて実験した結果を見ると、ドロップアウトを設定することによってさらに誤差を減少させることができていることがわかる。 このことから、ドロップアウトを設定することは、処理時間を延ばすことなくデータの収束を早めることができる有効な手段であると言える。

以上の結果から、畳み込みニューラルネットワークは、多大な処理時間、莫大なデータ数が確保できる状況であれば、高い精度で認識を行うことが可能であると言える。 今回の実験においては、さらにデータの数を増やすこと、また、MNISTの分類問題で用いられた各係数をそのまま流用している部分があったため、この係数を調整することでさらに高い精度が実現可能であると考えられる。

TensorFlowについては、本来複雑な処理が組み合わさって出来る畳み込みニューラルネットワークを簡潔としたソースコードで記述することができるが、その反面、内部的にどのような処理が行われているかは、TensorFlowの仕様を理解していないと難しい。 TensorFlowが今後さらに一般的に認知され、文献の充実、教育への利用、企業での利用といった方向に広がっていくことを願いたい。



Subsections

Deguchi Lab. 2017年3月6日