カオスニューラルネットワークの多層化

カオスニューラルネットワークを多層化したモデルとして, Figure 6.1のように 表される江本らによって提唱されたモデルがある。[6] このモデルは, 入力層, 海馬モジュール, 連合野モジュールの3層からなるモデルであり, 以下の現象を発現可能としたものである。

• 逐次記憶
• メタ記憶
• 自由想起性
• 中期記憶による長期記憶の形成
• H.M.の臨床例に対応する現象
• エピソード記憶
• 意味記憶

図 6.1: Network structure of model modeled by Emoto etc.

このモデルの海馬モジュールのニューロンの状態は次の式で与えられる。

$$x_i^{ca}(t + 1) = f[ \sum_{d=0}^t k_s^d A_j^{ca} (t - d)$$

$$+ \sum_{d=0}^t k_f^d \sum_{j=1}^N \omega_{ij}^{ca} x_j^{ca}(t - d)$$ (13)

$$- \alpha \sum_{d=0}^t k_r^d x_i^{ca} (t - d) - \theta]$$

$$A_i^{ca}(t) = s[x_i^{ip}(t)]$$ (14)

$$s(u^{ip}) = \begin{cases} 8.75 \mbox{if} u > 0.5\\ 1.25 \mbox{else} \end{cases}$$ (15)

また, このモデルの連合野モジュールのニューロンの状態は次の式で与えられる。

$$x_i^{cx}(t + 1) = f[ \sum_{d=0}^t k_s^d A_j^{cx} (t - d)$$

$$+ \sum_{d=0}^t k_f^d \sum_{j=1}^N \omega_{ij}^{cx} x_j^{cx}(t - d)$$ (16)

$$- \alpha \sum_{d=0}^t k_r^d x_i^{cx} (t - d) - \theta]$$

$$A_i^{cx}(t) = s[x_i^{ip}(t) , x_i^{cx}]$$ (17)

$$s(u^{ip} , u^{cx}) = \begin{cases} 8.75 \mbox{if} u^{ip} > 0.5 or u^{cx} > 0.5\\ 1.25 \mbox{else} \end{cases}$$ (18)

$ca$ , $cx$ , $ip$ はそれぞれ, 海馬モジュール, 連合野モジュール, 入力層を示すインデックスである。

このモデルでは式(6.7), 式(6.8)の条件を共に満たすとき, 式(6.9)の式に基づいて学習を行う。

$$(t - 2) \neq N$$ (19)

$$(t - 1) = (t) = N$$ (20)

$$\Delta\omega_{ij} = \beta(2x_i (t) - 1 )(2x_j (t - 1) - 1 )$$ (21)

$$= \sum_{i = 1} ^ N x_i^{\mbox{\scriptsize index1}} x_i^{\mbox{\scriptsize index2}}$$ similarity (22)

$N$ 素子数

$\beta$ 学習定数