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序論

人間の脳には100憶から1000億個もの 神経細胞(ニューロン)があるといわれている。[1] それぞれのニューロンはシナプスで結合されており、巨大なネットワークを形成している。 ニューロン1個ずつは非常に簡単な機能しかもっていないにもかかわらず、 人間の脳における神経回路網は優れた情報処理能力を持っている。 人間は即座に人の顔を識別したり、目の前の情景を理解し適切な行動をとることが出来る。 このように人間の脳は目や耳などから入力された信号を無意識のうちに 的確かつ迅速に情報処理することができる。

ニューラルネットワークは生物学から生じたものであり、 多くの素子によって構成されている。 この素子は生物のニューロンの最も基本的な機能に良く似た働きを するものであり、脳の解剖学的構造に類似するような方法で組織化されている。 このようなニューラルネットワークは、見かけ上の類似性によらず 経験から学習を行なったり、前例から新しいものに汎化したりと 驚くほどたくさんの脳の特徴を示す。 現在では、ニューラルネットワークの能力は文字認識や画像圧縮などの 様々な分野で実証されている。 その内で、特定の物を検索するサーチアクセスとよばれる検索方法が有る。 サーチアクセスを行なう上で最も重要な部分が動的想起状態である。 この動的想起状態をうまく実現出来るかにより、 サーチアクセスの性能も大きく変わってしまう。

現在まで本研究室では、動的想起に関する研究を行ない 様々な成果を出してきた。 しかしそれらの研究は、相関学習法と呼ばれる学習方法を用いた結果であった。 その後の研究で本研究室では相関学習法より優れた学習結果を示す 逐次学習法という新たな学習法が提案された。 そして、逐次学習法で学習されたニューラルネットワークを用いて 動的想起を実現することに成功している。 しかしこの動的想起で想起できるパターン数は、 学習できるパターン数よりも非常に少ないという結果であった。[2]

そこで本研究では、より良い動的想起状態を実現するために、 外部から刺激を与える事でニューラルネットを不安定にさせて より多くのパターンを想起させる方法などを用いて研究を進めていくことにする。



Toshinori DEGUCHI
2005年 4月 1日 金曜日 16時36分09秒 JST