平成18年度 現代GPフォーラム

  − e-Learning 促進における質の保証とサステイナビリティ −

 

が大学・高専・企業など多方面の方々が全国各地より多数参加いただくことにより盛況にて開催終了しました。



 平成18年度 現代GPフォーラム− e-Learning 促進における質の保証とサステイナビリティ − が平成19年3月12日(月)に岐阜市の長良川国際会議場 国際会議室にて開催されました。文部科学省から支援され、推進している現代GP事業が平成16年に採択されてから3年の取組完了にあたり、本取組で得ることができた成果を現代GPフォーラムの開催により広く社会に紹介しました。

 

現代GPフォーラムでは、様々な教育機関が e-Learning 促進の際に直面する、質の保証の問題と、いかにして e-Learning を持続していくかといった重要な課題をテーマとしました。

現代GPフォーラムでは、「e-Learning促進における質の保証とサステイナビリティ」に関する基調講演および特別講演の後に、我々の現代GPにおける取り組みの実際を紹介すると共に本テーマに関する高専における展望を紹介しました。

 

■フォーラムの開催に際しては、岐阜工業高等専門学校榊原建樹 校長の挨拶に引き続いて、 文部科学省高等教育局専門教育課課長補佐 河本雅弘氏より挨拶の言葉をいただきました。

 

■基調講演においては、日本の高等教育機関におけるe-Learningの普及促進に取り組んでおられるメディア教育開発センターの清水理事長より「e-Learning促進における質の保証とサステイナビリティ」に関して、日本の現状や、世界情勢などを御紹介いただきました。

 

■特別講演においては、教育機関がe-Learning促進における、質の保証を考える際に、欠かすことができない著作権処理の事例を多く有する放送大学の坂井素思氏より、e-Learningコンテンツを制作する際に、他人の著作に関連する内容を使用する必要が発生した際における著作権処理の事例などを御紹介いただきました。

 

■その後、休憩を挟んで本現代GPフォーラムでは、我々が取り組んできた現代GPの実践を紹介し、広く社会に公開しました。

日本全国に分散する国立高等専門学校(高専)は、いずれも実物との接触を通して学問上の抽象概念を具体的にかつ深く理解させ、学習効果を高めるという実践型教育を特色としています。このような実践的内容に該当する演習科目及び実験科目の講義を、可能な限りインターネットを介して遠隔教育する試みを岐阜・鈴鹿・群馬高専において、文部科学省の現代GPの支援を受けて平成16年から実施してきました。日本全国に分散する高専の個々の教員は各自の専門分野において他高専にはない知見を有しており、それに基づいて高度な内容の授業を開設しています。しかし、個々の高専の限られた教育スタッフだけで、学生(とりわけ専攻科学生)の高度な幅広い学習意欲を満足させる科目を多数開設することは難しいのが、現状です。そこで、各々の高専が有する特色ある実践型の高度授業を、IT技術を利用して相互に配信することで学生の高度な幅広い学習意欲に応える体制を設けるために今回の取り組みを実践してきました。本実践においては、従来、e-Learningでは最も実現が難しいとされてきた実物演習や実験・実習科目など実践型教育を題材として、高専間の人材的相互補完を実施する形で、IT技術を用いた遠隔講義を実現してきました。現代GPフォーラムでは、文部科学省の現代GPの支援のもとで、平成16年度、平成17年度、平成18年度においてe-Learningを用いた実践的な科目の単位互換を実施した様子について紹介しました。

 

■平成16年度採択現代GP代表校代表者岐阜工業高等専門学校

小川信之助教授「e-Learningによる単位互換を伴う実践的講義配信」

 

■平成16年度採択現代GP協力校代表者鈴鹿工業高等専門学校

兼松秀行助教授「実践工業数学の実践内容について」

■平成16年度採択現代GP協力校代表者群馬工業高等専門学校

五十嵐睦夫助教授「実験アラカルトの群馬高専での分担体制と単位互換の実際」

 

閉会の言葉 岐阜工業高等専門学校副校長(研究主事)河村隆雄

 

フォーラムは、全国各地から御参加いただき、参加者総数は、70名で、内訳として、他高専20名、大学3名、民間5名(新聞社を含む)、本校教員25名、本校職員14名、講師等3名でありました。

 

 現代GPフォーラム終了後には、同じ会場にて希望者が残って参加する形式のフリーディスカッションによる e-Learning に関する懇話会を開催しました。全国の高専・大学・企業等の方々が参加し、活発なディスカッションの場となりました。e-Learning の取組の現状に関する技術的な話題から、運用の話題、学校運営に関わる話題に至るまで様々な視点からの多岐にわたる内容に関してのディスカッションとなり、e-Learning自身の大切さと普及・持続・運用の重要性を浮き彫りにする意義深いフリーディスカッションとなりました。フリーディスカッションでは、e-Learning 今後の普及や発展に関する期待に関する話が聞かれると共に、制作に関してのインストラクショナルデザインの重要性が認識される話も聞かれました。

高度かつ学習のしやすい演習内容や実験装置の開発・作成には、その分野の専門的な知識と経験が必要であるが、現代GPの取組で開発した本プロジェクトの教育システムでは、各教員が得意とする分野について装置やコンテンツを提供し、それを遠隔地にある学校の学生が利用できるようにしたのみならず、従来困難とされた実験・実習を含む実践科目の e-Learning による単位認定・単位互換も実践できました。

現代GPのe-Learningに関する取組の内容は、実践してきた岐阜・鈴鹿・群馬の3高専のみならず、開発したシステムや講義として全国の高専に提供することができるものであり、そのことにより、さらなるスケールメリットを生み出すことが可能となりました。さらに、このプロジェクトで開発したシステムは、一般から利用可能なシステムに移植・改良することが可能であるので、高専の学生だけでなく、とかく座学に偏りがちな大学など各種高等教育機関の学生や新しい現象に携わる企業の技術者に対しても、実践型学習の場を提供することが可能となりました。

教育は生き物であるため、常に改良・改変を行うことが重要であり、教育の質の保証のためには、改良・改変は、重要な観点であり、e-Learning においても、このことは、同様であります。昨年度うまくいった講義が、今年度もそうとは限らない点も教育が生き物である所以であります。教育を良くするための変化を続ける限りは、教育の質が担保され、持続されるので、Plan、 Do、 Check、 Action のサイクルを回し続けることが肝心です。このことは、e-Learning のサステイナビリティに大切なポイントとなっていると共に、持続(変化)が止まった際には、質の保証も危ぶまれます。