蝶にそっくりの蛾

まず何も言わずに次の絵を見てもらおう

これは Castnia licus という 学名の昆虫を私が図鑑を見ながら描いたものである。 したがって細部は実物と異なっているだろうが、比較的うまく描けたと自分では思っている。
見たところ体つきはタテハチョウのようであり、触角はセセリチョウのようでもある。 見た目には蝶にしか見えないが、実はこの昆虫は蛾とされている。 これを見ていると蝶とは何か考えさせられる。
一般には
夜行性ではない。
触角の先が太くなっている。
羽を縦に合わせてとまる。
などが蝶の特徴として挙げられるが、このカストニアは其すべてを満たしている。 ということは蝶の特徴とはこれらの性質ではない、別の性質で蛾と区別されているのだろうが、それが何なのか詳しいことは知らない。 最近、尺蛾科の一部の種がチョウモドキ科として独立し、蝶に近縁な種類とされた。ここでもどこが蝶に似ているのかよく分からない。詳しく知っている人がいれば教えて欲しい。
カストニアの幼虫は確かに蝶の幼虫とかけ離れた形をしていて、白い大きな蛆のような虫でサトウキビの芯を中から食い荒らす害虫だそうだ。幼虫からみるとカストニアは他の蝶とは類縁関係は低いといえそうだ。 しかし、蝶の幼虫の中にも変わったものがいる。特にシジミチョウの幼虫には肉食のものがいる。これなどは鱗翅目の中ではセミヤドリガとならぶ異様な食性である。
カストニア科の昆虫は中南米とオーストラリアに主に生息し、日本にはいない。
日本で良く蝶と間違えられるのはイカリモンガで夏になると花に羽を立てて止まって蜜を吸っているのをよく見かける茶色の中型の蛾である。蝶に詳しい人でも捕まえて見ないと分からないくらい、茶色のシジミチョウ類に似ている。触角が蝶とちがい、先が細いので区別できる。

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