4年生の工学基礎研究のテーマの一つに、HDL(Hardware Description Language:ハードウェア記述言語)を用いてディジタル回路を設計する授業がある。そこでは、配布された資料を下に、実験・実習が進められたが、その資料は文章が多く画像が少なかったため、分かり難い部分があった。 HDLを用いたディジタル回路設計法を学ぶ授業を進めていく上で、役に立つ資料を作ることの意義は大きい。そこで本研究では、パワーポイントを用いてHDL学習用教材を、作成することを目的とした。
今回の教材では、HDLについて学ぶだけではなく、開発環境の「QuartusU」の使用法についても、最低限必要な事が分かるように作成した。作成した環境は、「オープンソース」という方針で開発されている「OpenOffice.org 2.0」を使用した。この環境では、OpenDocumentフォーマット(ODF)という標準ファイル形式(国際標準規格ISO26300)を採用しているため、簡単に教材の追加や改良ができる。また、パワーポイントとOpenOffice間の変換も簡単に行うことができる。 今回の教材を作成するにあたり、hdLab社製の「HDL Endeavor」という、HDLについて学習する事ができる教材なども参考にした。この教材では、HDLの基礎から、回路記述・検証・論理合成が行えるようになるまでの内容をパソコン上で各自が効率よく学習できるようになっている。しかし、分量が多く、15回という決められた時間の中だけで全て終わらせる事は、困難である。 そこで、この教材を参考にしつつ、15回の授業で必要な事が学習でき、自習でも使う事が可能な教材を作成した。
今回作成した教材の一覧を表1に、教材の一例を図1,図2に示す。
章 | タイトル |
---|---|
1 | CPLD/FPGAの基礎 |
2 | QuartusUの操作練習 |
3 | VHDLの書き方 |
4 | VHDLの文法の基礎 |
5 | 組合せ論理回路について、加算器、減算器 |
6 | エンコーダ、デコーダ |
7 | マルチプレクサ、デマルチプレクサ |
8 | 順序論理回路について、FF |
図1.第3章の1画面
図2.第8章の1画面
今回の研究では、全8章のVHDL学習用教材を作成した。 今回作成した教材は、実際の授業での進行を手助けする教材として作成したので、初心者でも十分理解することはできる。また、私自身が当時分かり難かった点を、くだけた表現で表したり、例題の部分に注釈を付けたりした。これにより、初心者がVHDLに興味を持って学べる教材になった。 今後は、シミュレーションの方法などの項目について解説する教材を追加していく事で、更によい教材を作成していきたいと考えている。