誘電率自動測定システムを用いた強誘電体BaTiO3の誘電率の温度依存性測定

1. 緒言

 強誘電体材料は、強誘電性・圧電性・焦電性を併せ持つ材料で、セラミックコンデンサや圧電素子、 強誘電体メモリ素子など幅広い分野で使われている電子材料である。 その中で、本研究室では広い温度範囲で、高い誘電率を持つコンデンサ材料を探査することを目的として、 誘電率の温度依存性・周波数依存性などを評価するための測定システムの開発を進めてきた。 本研究ではこの測定システムを使って、強誘電体BaTiO3の誘電率の温度依存性を測定した。

2. 誘電率自動測定システム

 本システムはインピーダンス・アナライザや温度測定用マルチメータ、温度コントローラ、 電気管状炉から構成されており、計測プログラムにより自動で誘電率を測定できるシステムとなっている。

3. 実験

 実験では温度を室温から約290[℃]まで変化させた時の強誘電体BaTiO3(チタン酸バリウム) の複素誘電率(比誘電率と比誘電損率 )の温度依存性の測定を行った。  測定試料は厚さが均等になるように結晶表面を鏡面状にラッピングフィルムで研磨し、 導電性ペースト(ドータイトD-550)を用いて試料の両面に電極を形成し、そこに金線を貼り付けて、 加熱乾燥させて平行板コンデンサとして作成した。

4. 結言

 本研究では、誘電率自動測定システムを用いて実際に作成した強誘電体材料BaTiO3の誘電率の温度依存性測定を行うことで、 強誘電構造相転移現象を観測することができた。
 今後は、強誘電体材料の加工技術を向上させ、本測定システムを用いて誘電率が高い材料で、周波数特性が良く、 温度依存性に優れた誘電体材料の探査を目指したい。