next up previous contents
: 逐次学習法と動的想起 : カオスニューラルネットワーク : カオスニューロンモデル   目次


カオスニューラルネットワーク

2.3節に述べたカオスニューロンを 相互結合型のネットワーク(図 2.6)の素子に用いることを考える。

相互結合型のニューラルネットワークでは、全てのニューロンが結合し、またその結合は双方向である。 (図 2.6中で、円がニューロンを、矢印が結合と結合の向きを表している。)

図 2.6: 相互結合型ニューラルネットワーク
\includegraphics[scale=1.0]{eps_file/mutual_coupled_network.eps}

ネットワークにおいてニューロンが、外部の信号と他のニューロンの出力を入力として受けるとする。 すなわち 2.3節に示したカオスニューロンの式(2.3)の 入力$S(t)$を、外部の信号と他のニューロンの出力とに分けて表す。


\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
x_i(t+1) = f(y_i(t+1))\\
y_i(t+1) = \xi_i(t+1)+\eta_i(t+1)+\zeta_i(t+1)
\end{array}
\end{displaymath} (2.7)

$x_i(t)$が時刻$t$での$i$番目のニューロンの出力を、 $y_i(t)$が時刻$t$での$i$番目のニューロンの内部状態を表す。 内部状態$y_i(t)$は、さらに、外部からの入力に関する項$\xi_i(t)$、 他のニューロンからの入力に関する項$\eta_i(t)$、不応性に関する項$\zeta_i(t)$とに分けられ、 それぞれ以下の式(2.8)で表される。


\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
\displaystyle \xi_i(t+1) = \sum_{j=1}^{M}...
... -\alpha\sum_{d=0}^{t}{{k_r}^dx_i(t-d)}-\theta_i
\end{array}
\end{displaymath} (2.8)

式(2.8)中の各記号の意味は下記の通り。

$M$
外部入力の数
$N$
ネットワークを構成するニューロンの数
$k_e$
外部からの入力に対する時間減衰定数
$k_f$
他のニューロンからの入力に対する時間減衰定数
$k_r$
不応性の時間減衰定数
$A_j(t)$
j番目の外部入力
$v_{ij}$
j番目の外部入力との結合係数
$w_{ij}$
j番目のニューロンによる入力との結合係数
$\alpha$
不応性の項をスケーリングする定数
$\theta_i$
閾値

なお、式(2.8)は以下のように表すこともできる。


\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
\displaystyle \xi_i(t+1) = k_e \xi_i(t)+\...
...) = k_r \zeta_i(t)-\alpha x_i(t)-\theta_i(1-k_r)
\end{array}
\end{displaymath} (2.9)



Deguchi Lab. 平成20年2月29日