カオスニューラルネットワークを用いた学習方法の一つとして、逐次学習法がある。本研究室では過去の研究の中でも逐次学習の研究は多く、学習能力が従来の場合よりも高いとされている。そのため、ネットワークにおける学習方法の中では優れた方法であると実証されている。
最近の研究では、学習する入力パターンとして「1」と「」の値を50個ずつ、合計100個をランダムに配置させたパターンを使用している。
ところが、50:50には特殊な結果が得られることが分かった。
素子数100の時の、1と-1の比率を50:50にした時の学習成功数を図 5.1に示す。
このように、途中までは入力パターン数と学習成功数は同じ関係にあるが、
一定のところから学習成功数は減少している。
つまり完全に想起することができなくなっている。
しかし、学習パターン数を増加させると学習パターン数と学習成功数が再び一致し、
そのまま300の状態まで続いた。
これは50:50という比率が原因であることがわかった。
例えば、要素の1つ目が「1」だったとする。
すると、残りの「1」は49個、「」は50個ということになる。
学習後の結合荷重を調べると,すべての値がほぼ負の一定値になる。
従って、重み付き加算を行うと必ず正の値になる。
つまり、一つ一つを想起するのではなく、50:50という特殊なパターンそのものを学習していたことが明らかになった。
そのため、比率が50:50ではない場合、異なる結果が出てくるのではないかと思われる。
また、実際の学習というものは、必ずしも入力パターンの比率が同じではない。
本研究では、「1」と「
」の比率を変化させた上でパターン数を300まで増加させた場合、
どこまで想起させることが可能なのか、どのような影響を与えているのかを調べる。