脳では、神経細胞のネットワーク、 つまりニューラルネットワークの中の情報処理結果として、 物の形、色、音、声などの認識や記憶、思考などが行われている。 ニューロンは情報処理用に存在する神経細胞で、 生物は多数のニューロンで巨大なネットワークを構成している。 図 2.1にニューロンの構造を示す。
ニューロンは本体中央に核(nucleus)を持ち、
主に細胞体(soma)、樹状突起(dendrite)、軸索(axon)に分けることができる。
細胞体は、細胞の中央部分のことである。
樹状突起は、細胞体の表面から突き出た多くの枝に分かれている、
ニューロンの入力部という役割を果たしている。
軸索は、細胞体から1本だけ伸びて途中でいくつもの枝の分かれており、
能動ケーブルの役割を果たす。
軸索の先端には、ほかの神経細胞の細胞体や樹状突起が付着している。
この付着をシナプスと呼んでいる。
軸索は数十ないし数百に分岐しており、
一つの細胞が受けるシナプスの結合の数は数百から数千に及ぶ。
各ニューロンが並列で分散して情報処理を行っている。
つまり同時に多数の神経細胞が並行して情報処理を行い、
各ニューラルが他の神経細胞と信号のやり取りを行うことで、
ネットワークの中で高度な情報処理を可能にしている。
一般的に、細胞膜の内外には電位差が存在する。
ニューロンも例外ではなく常に電位差が存在し、これを膜電位と呼ぶ。
ニューロンでは、他のニューロンから信号が到着すると、その影響で膜電位が変化する。
膜電位が一定の基準(mV程度)まで高くなれば、細胞膜のイオン透過性が変化する。
結果としてナトリウムイオンを細胞体内に取り入れて膜電位が正に達する。
続いてカリウムイオンが細胞膜の外に流出し、再び元の電位に戻る。
このように、膜電位が高い値になった状態を
ニューロンが興奮した(excite)あるいは発火した(fire)といい、
正になった時の膜電位を活動電位という。
膜電位の変化は、局所的に生じ、やがてパルス状の電位を有する正の膜電位領域が発生する。
このパルスを神経の電気パルスと呼ぶ[3]。