カオスニューロンの相互結合で構成されたネットワークを カオスニューラルネットワークと呼ぶ。 一般にニューロンのモデルを考えるにあたっては、
このような観点から、単純な法則がカオスを含む複雑な応答特性を生み出す
カオスニューロンモデルで構成されたカオスニューラルネットワークというものを考える。
カオスニューラルネットを構成する 番目のニューロンの入出力の様子を、
図 3.1 に示す。ここで各ニューロンは、
ここで
:
番目のカオスニューロンの時刻
における出力値
: 外部からの入力総数
: 外部入力項に対する時間減衰定数(
)
: 他のニューロンからのフィードバック入力項に対する時間減衰定数(
)
:
番目ニューロン自身の不応性の時間減衰定数(
)
: 時刻(
)における
番目の外部入力値
: ニューラルネットワークを構成するカオスニューロンの総数
: 外部入力
から
番目のカオスニューロンへのシナプス結合係数
: j番目のカオスニューロンから
番目のカオスニューロンへのシナプス結合係数
: 不応性項をスケーリングするパラメータ
:
番目ニューロンのしきい値
式(3.1) のカオスニューロンモデルは、 実際の生物のニューロンが有する軸索小丘部のアナログ的出力関数、 多数の外部入力やフィードバック入力の時空間的荷重および 神経膜の不応性をモデル化したものである。
式(3.1) の 番目のカオスニューロンモデルの
ダイナミクスは、それと等価で数値計算が容易な以下のような3つの内部状態変数
及び
のダイナミクスに書き換えることができる。
:
番目ニューロンにおける外部入力に関する内部状態項
:
番目ニューロンにおけるネットワーク内の他のニューロンからの
フィードバックに関する内部状態項(相互結合を表す項)
:
番目ニューロンにおける不応性に関する内部状態項
ここで、式(3.2),(3.3),(3.4) はおのおの
式(3.1)右辺の関数 の( )内の第1項,第2項,
および第3,4項に対応する
番目のカオスニューロンの内部状態変数で、
以下のように定義される。
上式(3.5) 〜式(3.7) で定義した
各項の和をニューロンの内部状態
とすると、 番目のニューロンの出力は式(3.8)
で表される[4]。
ここで、関数 は式(2.2) で表されるようなシグモイド関数とする。
また式(2.2),(3.2),(3.3),(3.4) を視覚的に表すと図 3.2 のようになる。