ポリマーがいしの撥水性の画像評価に及ぼす
水滴噴霧条件の影響高分子フィルムの高温高電界誘電特性と
空間電荷形成に関する検討
PPフィルムの絶縁破壊に近い高温交流高電界誘電特性領域と空間電荷形成に関する検討における
充電電流で増加に対する考察空間電荷が交流損失電流波形に及ぼす影響について
正員 藤井雅之 ( 大島商船高専 )
正員 所
哲郎*,澤田曜志,小ア正光 ( 岐阜高専 )
正員 穂積直裕 (( 豊橋技科大 )
正員 遠遠山和之山和之 ( 沼津沼 津 高 専 )
正員 所 哲郎 ( 岐 阜 高 専 )
正員 遠山和之 ( 沼津高専 )
正員 村本裕二 (豊 橋 技 科 大)
正員 村本裕二 長穂積直裕尾雅行 ( 豊 橋 技 科 大 )
正員 小長尾雅行ア正光 ( 豊 橋 技 科 大)
Masayuki Fujii, Member (Oshima National College of
Maritime Technology), Kazuyuki Tohyama, Member (Numazu College of
Technology), Tetsuro Tokoro, Youji Sawada, Masamitsu KosakiMember (Gifu National College of
Technology), Yuji Muramoto,
Member (Toyohashi University of Technology), Naohiro Hozumi (Toyohashi University of
Technology), Masayuki Nagao, Member (Toyohashi University of Technology)
シリコーンゴムなどのポリマー高分子がいしの利点として撥水性があり、水滴の接触角やSTRI法による表面全体の撥水状態としてその評価が成されている。接触角は試料である固体と水滴を形成する液体の表面エネルギーのつり合いにより決定されるため、試料の表面状態を数値的に表すのに適する。しかしながら接触角は、試料表面上の位置的な表面エネルギーのばらつきや、試料の吸水・乾燥などによる時間的な表面エネルギーの変化もあり、ポリマーがいし材料に対しては、必ずしも良好な劣化診断指標とは言い難い。これに対してSTRI法に代表される、試料面の撥水レベルの変化を画像としてとらえる手法は、撥水性の位置的なばらつきを反映した指標として、近年多く用いられつつある。
材料は優れた誘電・絶縁特性本研究では撥水性を用いて、高分子材料の評価やその非破壊劣化診断を実施する上で、より定量的で信頼性に富む評価基準を与えるため、STRI法の評価に画像解析を用い、その水滴噴霧条件が撥水性の画像解析結果に与える影響について検討した。を有しているが,交流高電界領域におけるそれらの特性については未知な部分が多い。交流高電界下で高分子材料中を流れる交流損失電流には高電界誘電特性に関する様々な情報が含まれていると考えられ,近年この交流損失電流から高電界誘電特性を評価する手法が確立されてきた(1)。
試料としてはHTVシリコーンゴムの板状試料を用いた。試料面を鉛直に設置し、試料表面に蒸留水を手動式の噴霧器により噴霧した。そのときの試料面の撥水状態をデジタルビデオカメラで取り込み、試料面の撥水画像を得た。この撥水画像をNIHImageにより、画像解析することにより、水滴の大きさ(S[pixels])の頻度分布と水滴の真円度(fc=4pS/L2, L:水滴の周囲長[pixel])の分布を得た。今までの研究により、STRI画像の撥水状態の低下は、同一の噴霧条件に対して、撥水性の低下の初期には水滴の大きさの増加(接触角の低下)を、更に撥水性の低下が進むと水滴の真円度の低下(接触角の位置によるばらつきの増加)をもたらすことが明らかとなっている。本研究では主に、水滴の噴霧量(1から5回の噴霧)と、試料の温度変化(0度、室温24度および98度)が、撥水性の画像解析結果に及ぼす影響について検討した。
Fig.1に、室温における噴霧回数1から5回の水滴の真円度分布を示す。S=25 [pixels]以上の水滴のみを計測した。噴霧回数が1から5回と多くなるにつれて、計測対象となる水滴の数は28, 51, 114, 194, 325個と増大するが、真円度の分布には大きな違いは見られない。水滴の大きさは、噴霧回数の増加と共により大きな水滴が形成され、大きなものほど真円度は低下する傾向を示した。噴霧回数を増すと、新たに形成される小さな水滴に加えて、それまでに形成されていた水滴が成長し、より大きな水滴が増加する。また、Fig.1の範囲を超えて、非常に大きな水滴を形成すると重力の影響から、その真円度は急激に低下した。
次に、噴霧回数3回の場合の、試料温度を0度、室温24度および98度と変化させた場合の、室温の蒸留水噴霧による水滴の大きさと真円度の関係をFig.2に示す。各温度の水滴が小さい範囲の真円度上昇の原因の一部は、画像解析の分解能の影響だと考えられる。水滴に含まれる画素数が少なくなると、解析画像の面積Sの低下に比べて周囲長Lの低下は見かけ上少ないが、真円度にはその2乗で影響するため、真円度は上昇する。従って、撥水性の画像解析に関しては、最適な画像分解能と水滴噴霧量の関係が存在する。特に真円度の画像計測を行う場合には、噴霧量が少なく水滴が小さい場合には、画像取り込みの分解能を上記の画像計測の影響が出ない範囲まで上げる必要がある。
一般に試料温度の上昇は固体の表面張力の低下をもたらし、試料中の低分子量成分(LMW)の試料表面への移動や、試料中の水分の蒸発もあり、固体表面エネルギーは低下し、撥水性は向上する。Fig.2ではこの影響は必ずしも観測できていない。むしろ水滴が大きくなるにつれ、真円度が室温以下より低下する傾向を示している。試料温度が高くなるにつれ計測された水滴数は300, 114, 89個と低下し、大きさ分布も小さくなっている。これらには試料に付着後の水滴の温度上昇の影響(液体の表面張力の低下)が大きく寄与すると考えられ、現在検討を進めている。
次に、試料温度を室温一定とし、噴霧水の温度を0度、室温、40度と変化させた場合の結果を示す。この場合は試料の撥水性は一定と考えられ、温度上昇に伴う液体の表面張力の低下が撥水画像に与える影響を検討することとなる。蒸留水の温度が上昇すると液体表面張力が低下するため、同一の噴霧条件でもより大きな水滴の噴霧となり、かつ、表面張力の低下により、撥水性も低下すると考えられるが、試料温度の室温に水滴温度は平衡するため、霧生成時の影響が主に観測され、面積分布は大きな方へとシフトする。
Parameter: Parameter:
Number of spraying
Temperature of HTV SIR
図1 噴霧回数と水滴真円度の分布変化 図2 試料温度による水滴の大きさと真円度の変化
Fig.1. fc and number of droplets on the HTV SIR. Fig.2. fc and size of droplets
on the HTV SIR.
実験には公称厚さ30mmの二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムを用い,電極としてAuを真空蒸着した。電極系は拡張ガード電極付き3端子電極系とし,部分放電を抑制するためにエポキシ樹脂でモールドした。
実験のはじめにこの試料の充電電流成分(Ixc)を除去することを目的として,50kVrms/mmで電流比較型ブリッジの同調をとり,試料の静電容量を決定した。その後、,室温では最大で200kVrms/mm、,120℃では最大で70kVrms/mmとなる交流ランプ電圧を印加して出力信号を検出した。この検出信号をFFT波形解析することにより、,交流損失電流(Ixr)、,充電電流の不平衡成分(Ixc)、,tanδを求めた。
3.実験結果と検討 図1にtanδの温度特性を示す。室温領域ではtanδが緩やかな電界依存性を示しているのに対し、,高温領域になるとtanδは電界の上昇と共に急激に増加した。これは次式(1)で説明されており、,高温領域ではσxが支配的となるためである(3)。
tanδ=tanδPF+σx/ωε ・・・(1)
図2に充電電流の不平衡成分(Ixc)の温度特性を示す。室温では電界が50kVrms/mmをこえるとIxcが増加し始めており、,この電界をしきい値として電極からのキャリア注入が増加したと考えられる。また、,電界のしきい値は高温になるにしたがい低電界側に下がり、,Ixcは電界の上昇と共に急激に増加した。
筆者らは室温において電界しきい値となる電界を80kVrms/mmと報告したものもあるが(2)、,この電界は電極と試料界面の状態に依存するため、,変動することが考えられる。また、,高温領域になると室温領域よりも低い電界からキャリア注入が始まり、,同じ電界で比較するとその注入量も室温領域より増加する多いとと思われる。Ixcの変化から電界印加中の静電容量を算出し、,電極界面に形成される空間電荷層を試算した結果(4)、,室温では200kVrms/mmにおいて???0.17μm、,120℃では70kVrms/mmにおいて???0.30μmという値が得られた。
図1 tanδの温度特性
図2 充電電流の不平衡成分(Ixc)の温度特性
参考文献
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(1) 所他 :平成6年電気学会全国大会 S.5-7,1994
(2) 藤井他:電気学会A部門大会 #157,1999
(3) 所他 :電学論A 110巻6号 pp372-378,1990
(4) 坂本他:電学論A 95巻10号 pp439-446,1975岐阜高専 )
Effect of
Space Charge on Dissipation Current WaveformSComputer Analysis of Space Charge Formation in Polymer Filmtudy on the Increment of Charging
Current in AC
High-Field Region near Breakdown
Masayuki
Fujii, Member (Oshima
National College of Maritime Technology), Kazuyuki
Tohyama, Member (Numazu
College of Technology), Tetsuro Tokoro, Member (Gifu
National College of Technology), Yuji Muramoto, Member (Toyohashi
University of Technology),
Naohiro Hozumi (Toyohashi University of Technology),
Masayuki
Nagao, Member (Toyohashi University of
Technology), Masamitsu Kosaki, Member (Gifu
National College of Technology)
1.まえがき
高分子材料は優れた誘電・絶縁特性を有しているが,交流高電界領域におけるそれらの特性については未知な部分が多い。交流高電界下で高分子材料中を流れる交流損失電流には高電界誘電特性に関する様々な情報が含まれていると考えられ,近年この交流損失電流から高電界誘電特性を評価する手法が確立されてきた(1)。
筆者らはこれまでにポリプロピレン(PP)フィルムの室温高電界誘電特性について調査してきた。その結果、特に絶縁破壊に至る過程で充電電流の不平衡成分の増加から、キャリア注入による空間電荷形成の可能性が示唆された(2)。
今回はポリプロピレン(PP)フィルムの高温高電界領域で形成される空間電荷について検討したので報告する。それらの特性にどのような変化が起こっているのかは,劣化診断や絶縁破壊予知とも関係しており非常に重要である。交流高電圧印加時電界下にで高分子材料中を流れる交流損失電流には高電界誘電特性に関する様々な情報が含まれており,近年この交流損失電流から高電界誘電特性を評価する手法が確立されてきた(1),(2)。
今回は絶縁破壊に近い交流高電界領域で試料を流れる充電電流成分が急激に増加する原因として,電極界面に形成されると思われる空間電荷の影響についてが交流損失電流波形に与える影響について検討考察したので報告する。
2.試料および試料と実験方法方法
実験には供試フィルムには公称厚さ3030mμmの二軸延伸ポリプロピレン(LDPE)フィルムを用い,電極としてAuを真空蒸着した。電極系は試料は拡張ガード電極付き図1に示す3端子電極系とし,部分放電を抑制するためにエポキシ樹脂でモールドした後,室温で硬化したた。
実験のはじめにこの試料のに流れる充電電流成分(IC)を除去することを目的として,5050kVrms/mmでCCBブリッジの同調をりった後試料の静電容量を決定した。その後、室温ではとった。この状態(Cは347.8pF)をBAとし,この後,最大で15020150kVrms/mm、120℃では最大で70kVrms/mmとなる交流ランプ電圧を印加して出力信号を波形を検出した。さらに,CCBブリッジのCダイヤルを同調時から故意に約0.1%大きくずらした状態(Cは348.2pF)をU,約0.1%小さくずらした状態(Cは347.2pF)をDとして同様に交流ランプ電圧を印加して波形を検出した。これらの検出波形信号をFFT波形解析することにより、交流損失電流(Ixr)、充電電流の不平衡成分(Ixc)tanδを求めた。,誘電正接(tandδ),交流損失電流(IXR),充電電流成分成分の非平衡分(凾hCXC)などを求めた。
3.実験結果実験結果と考察検討
図1にtanδの温度特性を示す。室温では緩やかな電界依存性を示しているが、高温になるにしたがいtanδは低い電界から急激に増加している。これは次式(1)で説明されており、高温領域ではσxが支配的となるためである。
tanδ=tanδPF+σx/ω ・・・(1)
図2に充電電流の不平衡成分(Ixc)の温度特性を示す。室温では電界が50kVrms/mmをこえるとIxcが増加し始めており、この電界をしきい値として電極からのキャリア注入が増加したと考えられる。また、電界のしきい値は高温になるにしたがい低電界側に下がり、Ixcは急激に増加することが分かった。
筆者らは室温においてしきい値となる電界を80kVrms/mmと報告したものもあるが、この電界は電極と試料界面の状態に依存するため、ばらつくことが考えられる。また、高温になると室温よりも低い電界からキャリア注入が始まり、その注入量も室温より多いと思われる。Ixcの変化から電界印加中の静電容量を算出し、空間電荷層を試算した結果(3)、電極界面に室温では???μm、120℃では???μmの空間電荷層が形成された可能性が示唆された。
図2は状態BAにおける交流損失電流波形の電界依存性を示している表している。比較的低い電界領域では正弦波となっているのに対し,高絶縁破壊に近い高電界領域になると半周期の前半にピークが現れる波形に歪み,,位相がやややや進んでくる。また,図3は交流損失電流(IXR)と充電電流成分の非平衡分(凾hXC)の電界依存性を表しているCCBブリッジの状態の違いによる交流損失電流波形の比較を示している。凾hXC 状態Uは電界がでは80kVrms/mmを超えると位相急激にが増加することが分かる遅れているのに対し,状態Dでは位相が進んでいる。
高電界領域で位相がやや進むのは,試料の静電容量充電電流成分がが同調時に比べて増加しているたためであることが分かった。このことから、
高電界領域で静電容量充電電流成分がが増加するのは電極からのキャリヤの注入量が増加し,電極界面にホモ空間電荷層がが形成されることに形成されることによって,空間電荷分極が寄与したた起因しているめと考えられていてい思われるる。ここで、,電極界面に形成された空間電荷層が非常に高い導電率を持っているにより実効的に試料厚さが減少したと仮定した場合,形成される空間電荷層は試料厚さの減少分は30μmに対して0.03μm程度であると試算でき,交流高電界下で形成される空間電荷は電極界面近くの非常に薄い領域であることが推測できる。
参考文献
(1) 所他 :平成6年電気学会全国大会 S.5-7,1994
(2) 遠山他:電学論A 116巻12号 pp1101-1106,1996
図1 tanδの温度特性
電極系
図2 充電電流の不平衡成分(Ixc)の温度特性交流損失電流波形の電界依存性(状態BA)
図3 CCBブリッジの各状態における交流損失電流波形 の比較図3 交流損失電流(IXR)と充電電流成分の非平衡分
(凾hXC)の電界依存性
参考文献
(1) 所他 :平成6年電気学会全国大会 S.5-7,1994
(2) 遠山他:電学論A 116巻12号 pp1101-1106,1996
(3) 福間他:電学論A 114巻3号 pp230-235,1994
(4) 藤井他:電気学会A部門大会 #157,1999
(5) 村田他:電学論A 116巻12号 pp1095-1100,1996