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変な生物ランキング


1 希硫酸の血液が流れている動物

スボヤというホヤの一種である。ホヤというと主に東北地方で食用にされるマボヤや 水族館の水槽にくっついている事の多い半透明のユウレイボヤなどしか見たことがないが、かわった動物が多いようだ。
スボヤは血液が酸っぱいことから付けられた名前だが、それは血液中の硫酸のせいである。酸の強度はph1 つまり胃液と同じくらいの強さで鉄釘などを溶かすには十分である。 どうして平気でいられるのか不思議だが、敵に襲われないための適応であろうことは察しがつく。あまり参考資料がないので詳しいことは分からない。
参考までに他のホヤについて変わった性質を述べる。
先ず、ホヤは一定時間ごとに血液の流れる向きが逆になる(心臓の鼓動も逆になる)。 脊椎動物に慣れた目から見ると異様である。
次に、一部のホヤにはヘモバナジンという バナジウムを含む緑色の色素(酸化状態により色は変わるらしい) を血球の中に含んでいる。ヘモグロビンに似ているので呼吸に関係するのではないかと 考えられていたが、調べると酸素を運ぶ能力は無いらしく何の為にあるのか不明だそうだ。とにかく緑色の血液の動物がいるわけである。(見たことはないのではっきりしたことは分からないが、おそらく非常に薄い色しかついてないのではないか)
群体ボヤといわるかたまって生活している小型のホヤは腸が分裂して増殖する。 ホヤは脊椎動物にもっとも近縁な動物で、その意味では分裂して増えるもっとも高等な動物である。なお「鼻行類」(注1)のなかに極端に退化した哺乳類で鼻が分裂して増殖するものが述べられているが、これはホヤの類似現象である。
参考図書 ホヤの生物学 中内光昭/著 東京大学出版 up biology

注1
シュテェンプケ、シュタイナー著日高敏隆 羽田節子訳 思索社
鼻で歩く哺乳類「鼻行類」の博物学的研究書。これは名著である。

2 驚異的な耐久力のクマムシ

クマムシは普通の土壌のなかにいる体長0.5ミリ程の小型の生物である。 八本の足でのそのそ動くのが熊に似ているところから名付けられた。長命虫(チョウメイチュウ)とも言うが実際の寿命がどれ程かはよく調べられていない。 環境が乾燥してくると足を縮めて樽状になる。この状態になると次のような非常に過酷な環境にも耐えることができる。(記憶違いもあるだろうが大体このようなものだと思う)
沸騰している湯に1時間いれる
180度くらいのてんぷら油に10分ほどいれる。
液体窒素の中に数ヶ月間いれる。
真空中に数ヶ月放置する。
また放射能にも強く、致死量は人間の数万倍もあるらしい。
乾燥状態では樽状のまま100年ぐらいは耐える事ができるらしい。ただし樽状でない状態で環境が急変すると、簡単に死んでしまう(気温が40度くらいでも)。
この耐久力のおかげで地球上のほとんど全域に生息しているが、ほとんどの人が気が付かない生物である。
参考図書 動物系統分類学7巻上 内田享 他 中山書店
五つの王国 リン・マルグリス、カーリーン・V・シュヴァルツ著 川島誠一郎 根平邦人 訳 日経サイエンス社

3 一卵性二千生児

ある種の蜂は一つの卵から約二千匹もの蜂(の幼虫)が生まれるという。詳しい資料が 蔵書の中に埋もれてしまっているのを探索中。

4 100度を越える温度で増殖する古細菌

20年以上前から100度を越える生物がいたとか、間違いだったとか話題になっていたが、 いる事は間違いないらしい。ただし沸騰すると死んでしまうらしく、深海底などの 100度でも沸騰しない環境に生息している。
これは古細菌といわれる生物の仲間で、超高好熱菌ともいわれている。 海底火山の噴火口などに生息し、火山から発生する化学物質をエネルギー源としている。100度ぐらいでもっともよく増殖し、80度くらいの低温になると死んでしまう奇妙な生物である。
近縁のものが地上の火山湖や温泉中などにもすんでいる。こちらの方はさすがに100度はだめだが90度ぐらいは平気であるし強酸中に住んでいるものも多い。
参考図書 好熱性細菌 大島泰郎/著 東京大学出版会 Up biology
古細菌 古賀洋介/著 東京大学出版会 UP biology

関連ホームページ

製品評価技術センター(通産省)
超好熱細菌(生育最適温度98度)のゲノム(全遺伝子情報)がバイオテクノロジーセンターにて解明された。そのデータを見ることができる。

5 体内の塩分濃度が飽和食塩水より濃い高度好塩菌

古細菌の中の高度好塩菌は海水などの塩分の少ないところでは 生活できず、塩湖や塩田などに多数生息している。 細胞内の塩分濃度は飽和食塩水より高く、当然すべてが水にとけているわけではなく 塩分の大部分は細胞膜などにくっついているとおもわれる。
バクテリオロドプシンという赤い色素を含み、これで弱いながら光合成を行っている。 人間の目の網膜で光を感じるロドプシンという物質に似た物質である。 塩田でとれた塩が赤みを帯びているのは実はこの色素のためである。 病原性や毒性はないので心配はいらない。
古細菌の仲間は前にあげた好熱菌とこの好塩菌そしてメタン細菌に分けられている。 多くの性質で普通の細菌とは異なり、全生物を古細菌、真正細菌(古細菌以外の細菌)、真核生物(細胞核がある生物)の3つに分けるのが最近の定説である。
参考図書 古細菌 古賀洋介/著 東京大学出版会 UP biology

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