変態の分類

変態する動物は数多いがここでは昆虫のみを考えてみる。
一般に昆虫は無変態、不完全変態、完全変態の三つに分けられるとされている。

無変態
カマアシムシ目、コムシ目、粘管(トビムシ)目、総尾(シミ)目

不完全変態
蜻蛉(トンボ)目、蜉蝣(カゲロウ)目、ゴキブリ目、等翅(シロアリ)目、紡脚(シロアリモドキ)目、 直翅(バッタ)目、革翅(ハサミムシ)目、蟷螂(カマキリ)目、竹節(ナナフシ)目、積翅(カワゲラ)目、虱(シラミ)目、食毛(ハジラミ)目、ガロアムシ目、噛虫(チャタテムシ)目、絶翅(ジュズヒゲムシ)目、総翅(アザミウマ)目、半翅(セミ、カメムシ)目

完全変態
脈翅(ウスバカゲロウ)目、毛翅(トビケラ)目、長翅(シリアゲムシ)目、 甲虫目、撚翅(ネジレバネ)目、膜翅(ハチ)目、双翅(ハエ)目、鱗翅(チョウ)目、隠翅(ノミ)目

とされている。
ところが本を読んでいると、どうやら半翅目に属するカイガラムシには蛹になるものがあるらしい。そこで改めて調べてみることにした。

無変態では成虫にも羽はなく、幼虫と成虫の差はあまりない。
不完全変態では成虫には羽があり、幼虫には羽がない。しかし、幼虫には 将来 羽になる部分(翅原基という)が外から見える。
完全変態では幼虫は蛹になってから成虫となる。幼虫の翅原基は外から見えない。 蛹はほとんど動かず餌も取らない。蛹では将来 羽や脚になる部分は外から見える。

不完全変態昆虫の中でトンボ、カゲロウ、カワゲラは幼虫が水中で過ごすこともあり、 幼虫と成虫がかなり異なっている。特にカゲロウは幼虫が脱皮をして、亜成虫となり、亜成虫が脱皮して成虫となる。 亜成虫にはちゃんと羽があって空を飛ぶことができ、生殖能力を除いては成虫と同じように思われる。カゲロウ以外で亜成虫となる昆虫はいない。このことは昆虫の祖先は成虫も脱皮をしていた名残だという説もある。
カゲロウ目の変態のことを前変態、トンボ、カワゲラ目の変態を原変態と呼んでいる。 それに対しバッタ、ゴキブリなどは幼虫と成虫は 羽がないことを除きそれ程違いはない。これを小変態という。
一方、半翅目の一部と総翅目すべては新変態と呼ばれている。新変態とは不完全変態と 完全変態の中間的な性質をもつ変態で、更に幾つかに分類されている。 新変態の蛹に類似する期間を擬蛹という。2齢あるときは前擬蛹、擬蛹という。

同変態
最終齢幼虫(擬蛹)で初めて翅原基が現れる。不動ではなく摂食する。タマカイガラムシ類などの有翅のメス

再変態
幼虫には翅原基が外から見えず、脱皮して半ば不動の前擬蛹になる。前擬蛹は脱皮して擬蛹となり、更に成虫になる。前擬蛹と擬蛹には翅原基が見える。総翅目のすべての種が含まれる。

副変態
カイガラムシの雄のみで見られる。幼虫は前擬蛹、擬蛹をへて成虫となる。 前擬蛹、擬蛹は摂食をしない。なおメスは幼虫と同じ形態のままである。

異変態 コナジラミでみられる。一齢幼虫のみ動くことができ、2齢、3齢、4齢幼虫は動くことができない。すべて翅原基は外からまったく見えない。4齢幼虫が脱皮すると有翅の 成虫となる。

完全変態には特殊なものとして
過変態
多変態
があるがいずれも幼虫期に変化するものである。 また隠変態という特殊なものもある。

これらは生物学辞典(岩波書店)第四版にもとづいて作られた


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