講談社
講談社の文庫で最初に目につくのは、キング文庫であろう。
最初は雑誌キングの懸賞品(なんと当選者は9500人)として作られた。
当然非売品であったが、要望が多く販売もするようになった。
次に問題となるのは、産報文庫であろう。
産報とは大日本産業報国会の略で戦争に協力する労働組合のようなものである。
その産報の企画で講談社から発行されたのが産報文庫で市販はされず直接工場などに
納入し労働者に回し読みされたらしい。昭和19年8月に第一回が発行された。内容は娯楽中心の大衆文学が主である。
次のような要綱がある。(戦中戦後出版業界史 日配時代史より)
産報文庫、配給事務処理要領
一、産報本部ハ、日配本店ニ対シ「文庫」ノ都道府県別割当部数表ヲ提出スルコト。
二、日配本店ハ、日配道府県出張所又ハ支店(以下出張所)ニ対シ、当該道府県ノ
割当部数ヲ通知スルコト。
三、日配出張所ニ於テ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ、当該道府県産報ト協議シ、
系統下工場、鉱山事業所等(以下工場)ニ対スル割当部数ヲ決定スルコト。
中略
六、共仕体ハ、現品到着セルトキ之ヲ指定工場ニ対シ一括購入ヲ為スコト。
指定工場以外ニ対スル販売ハ為サザルコト。
七、配給ヲ受ケタル工場ハ、同文庫ヲ個人配布トセズ、適宜ノ方法ニヨリ全戦士ノ
回読ニ供スルコト。以上
また軍の恤兵部に対しても同様の文庫本を納入していた模様。
終戦後は発行が計画されていた本は普通の本として発行・市販されたものと思われる。
このあたりのことは詳しい資料が少ないので、不明なことが多い。
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