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文庫本についての覚え書き

元パラについて

古書業界では元パラという言葉が有るらしい。 以前 岩波文庫をはじめとする本のカバーの代わりをしていた、半透明の紙を パラフィン紙という。それが発行されたときと同じものを元パラというらしいが、 今まで気にもとめていなかった。
パラフィン紙は本の保護のためにあるのだろうが、破れたり皺になったりしやすく、 読むときには邪魔にしかならない。大して重要なものだとも思えないし、大体パラフィン紙はそれがオリジナルのものか区別がつかないではないか。 少し(?)前までは書店の岩波文庫のパラフィン紙が痛んだときはパラフィン紙だけ とりかえて売っていたような記憶がある。
ところが、元パラにもそれなりの意義があるらしい文庫を最近になって入手した。 戦前の新潮文庫には整理番号を印刷した帯(現在の文庫本の帯よりやや細い)がついていた(全部に帯があったかはよく分からない)。ところが 昭和17年発行の新潮文庫で帯は無くパラフィン紙に帯と同じものが印刷されているものがあったのである。
資材の不足で帯を作る紙を節約したのかも知れない。当時の社会状況を示す資料といえよう。
帯で思い出したが、岩波文庫の帯に 慰問袋には岩波文庫をいれよう といった標語が入っていたものがある(正確な文句は忘れたが)。これなども世相を反映したものといえよう。

本のサイズ

現在の紙の大きさの規格は次の通りである。単位は mm 線より下側は昔の呼びかたである。 昭和15年以前はこれらが主に使われていた。 半截は「はんせつ」と読むのが正しいが、「はんさい」と読まれることも多い。 また A5 , B6 を新菊版、新四六版 と呼んでいる事もある。 昭和16年4月より政府により使用が禁止された。現在は規格外だが 自由に使用できる。