筋電義手を想定した多指・多自由度ロボットハンド開発
義手に適したサイズ・重さのハンドを設計し、把持実験を行います。
01 / Research
人の把持戦略を手がかりに、筋電・画像・機械学習を統合した義手/ロボットハンドの知能化に取り組んでいます。
義手とは、事故や病気などによって欠損した手を補うための「人工の手」です。外観が人の手に近い「装飾義手」や、手が開閉するなど操作性の高い「能動義手」などがあり、なかでも直感的で高い把持力を持ち、自分が望む手姿勢を選択できる「筋電義手」への期待は高いです。
「筋電義手」は腕の筋肉の動き(筋電位変化)をセンサで読み取ってハンドを制御しますが、センサから得られる信号は微弱でノイズを含むため、数種類の手姿勢タイプ(握る・つまむ・指をさす・リラックスなど)を識別する程度が限界とされてきました。
一方で近年、深層学習を用いた画像認識技術は物体の種類・サイズ・形状・位置を高精度に認識できます。
そこで筋電義手に画像認識技術を導入することで、使用者の把持目的と物体の形状に合わせた把持姿勢の計算が可能になると考えています。
人が視覚情報から把持動作を生成する過程をモデル化するため、VAE(変分オートエンコーダ)を導入した視覚-運動変換モデルを構築しています。VAEは、データの背後にある特徴を教師なしで学習するAI(深層学習)の一種です。異なる感覚情報を統合して把持動作を計画する神経回路モデルは福村ら[1]によって提案されており、本研究はその考え方をVAEに基づく学習モデルとして発展させたものです。
深度カメラで撮影した物体画像を画像VAEで低次元の潜在変数に圧縮すると、物体の直径など物理的に解釈可能な特徴量が教師なしで抽出されます。同様に多指ロボットハンドの把持姿勢をハンドVAEで低次元に表現し、2つの潜在空間を結合することで、画像から把持に適した手の姿勢を直接生成します。
さらに筋電信号から識別した使用者の動作意図と組み合わせ、義手システムとして統合します。
[1] Y. Uno, N. Fukumura, R. Suzuki, M. Kawato, “A computational model for recognizing objects and planning hand shapes in grasping movements,” Neural Networks, vol.8, no.6, pp.839-851, 1995.
VAEを用いた本手法は、大量のラベル付きデータを必要とせず、人の把持戦略を反映した特徴を教師なしで獲得できる点に特長があり、使用者や物体の変化に柔軟に適応する直感的な筋電義手システムの実現が期待されます。本テーマの成果は電子情報通信学会論文誌に掲載され、2024年度の論文賞を受賞しました。
今後は、触覚センサによる把持力の実時間適応や、視線・音声など複数モダリティの統合へと発展させ、義手にとどまらず作業支援ロボット、リハビリテーション機器、ヒューマンインタフェースへの応用を目指します。
その他の研究テーマ
義手に適したサイズ・重さのハンドを設計し、把持実験を行います。
人の把持運動戦略をもとに構築した学習モデルで、物体把持に必要な特徴量を抽出します。
筋電センサやひずみセンサを用い、手やハンドを物体に到達させるまでの信号から把持タイプを識別します。
学習モデルが計算した把持姿勢をシミュレーション上で定量評価し、学習データ生成も試みます。
指先触覚センサ(静的な把持力:感圧センサ、滑り検知:ピエゾフィルム)と電流情報を融合し、滑りを検知しながら安定した把持を実現します。
卓上カメラで人の顔と物体を撮影し、視線推定で注視物体を選択してロボットアームを操作します。
02 / Facilities
計測から試作、学習、評価までを研究室内で完結できる環境を整えています。
03 / Members
電子制御工学科(D科)では、本科4年生の後期から研究室に配属されます。
1名
0名
0名
0名
6名
後期配属予定
04 / Publications
石神 光燿,松田 基.電子情報通信学会NC研究会,2026年3月18日.口頭発表.
長谷川 大起,松田 基.電子情報通信学会NC研究会,2026年3月18日.口頭発表.
一般社団法人 電子情報通信学会(2025年6月 受賞).受賞者:松田 基,片山 哲,福村 直博.
松田 基,福村 直博.電子情報通信学会論文誌D,J108-D(9),489-500,2025年9月.査読有り・筆頭著者.
松田 基,片山 哲,福村 直博.電子情報通信学会論文誌D 情報・システム,J107-D(2),67-76,2024年2月.査読有り・筆頭著者.
05 / News
研究室の学会発表・受賞・イベントなどの最新の出来事をお知らせします。
電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会で、2名の5D学生が口頭発表を行いました。
2025年度に新たに配属された6名の4年生の歓迎会を行いました。
岐阜高専のオープンキャンパスで、研究室で取り組んでいるテーマのデモを行いました。
電子情報通信学会の2024年度 論文賞を受賞しました。
2024年度に新たに配属された4名の4年生の歓迎会を行いました。
06 / Annual Schedule
研究室での一年の主な流れです。学年ごとの関わり方を示しています。
毎月開催。研究の進捗を報告し、議論を通じて方針を確認します。
新年度が始まり、5年生が卒業研究のテーマと計画を立てます。
研究室で取り組んでいるテーマのデモを来場者に紹介します。
新しいメンバーを迎え、研究室での活動が始まります。
5年生が中間発表を行い,卒業研究発表に向けての課題を洗い出します。
5年生での研究に向けた準備として、4年生が基礎的な調査・研究の成果を発表します。
5年生が一年半の研究成果をまとめ、発表します。
活動を振り返り、成果と引き継ぎ事項を次年度へまとめます。また学会や研究会で研究成果を発表します。