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結論

本研究では、個々のニューロンが自身の内部状態により結合荷重を変化させるかどうかの判定をし、追加学習を行なう逐次学習法を用いた。その時の入力パターンの2値の比率についてはこれまでほとんど研究されてこなかった。よって、入力パターンの1の比率を変化させ、それによる学習の変化を調べた。

まず、ネットワークの素子数100において、1の比率を10%〜90%まで5%ずつ増加させたパターンを乱数によって各比率ごとにそれぞれ作成し、それらを入力として学習を行った。その結果、入力パターン数に対する最大学習成功パターン数は、完全学習が途切れた後はどの比率においても急激に減少していった。また、各比率における最大完全学習数を見ると、パターン間の相関が高い比率(10%や90%など)の方が、相関が高くない比率(50%など)よりも高い値をなることが分かった。

次に、素子数を200、300に増やして同様に学習を行った。その結果、入力パターン数に対する最大学習成功パターン数は増加した。また、完全学習が途切れた後の最大学習成功パターン数の減少は、どの比率においても素子数を増やした方が緩やかな傾向になることが分かった。特に、比率が極端に少ないときや多いとき(10%や90%など)は完全学習が途切れた後も最大学習成功パターン数が増加する傾向が見られた。各比率における最大完全学習数を見ると、素子数100の時とは違い素子数200、300の場合はそれぞれ1の比率によらずほぼ同じ値を示した。

以上の結果より、入力パターンの2値の比率は確かに学習に影響を及ぼしていると考えられる。その影響の与え方は素子数にも関係しており、素子数が多くなると変化が大きくなる値もあれば、ほぼ変化しない値もあることが分かった。今後は、入力パターンの比率だけでなく、2値の配置の偏りなども学習に影響を及ぼすか調べる必要がある。

謝辞

最後に本研究を進めるに当たり、一年間を通して多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く感謝するとともに、同研究室にて助言をいただいた専攻科の松野圭将氏、木村俊貴氏、共に学んだ、岡晋之介氏、小野木祐太氏、林郁真氏に厚く御礼申し上げます。



Deguchi Lab. 2010年3月5日