まず素子数200の場合について見ると、素子数100のときと比較して入力パターン数に対する最大学習成功パターン数は増加している。これは5.1節でも述べたように、ネットワークの素子数を増加させると記憶容量も増加するためである。素子数300の場合にさらに最大学習成功パターン数が増加するのも同様である。グラフの傾向が一番顕著な変化を示しているのは、図5.10の1の比率が10%の場合である。素子数が100の場合の図5.2と比較すると、図5.10のグラフは完全学習が途切れた後も、最大学習成功パターン数は頭打ちせずに入力パターン数の増加と共にわずかではあるが増加しており、入力パターン数が280を越えたあたりで減少している。素子数200における比率30%、50%の場合は、最大学習成功パターン数の減少が多少緩やかになっている程度でグラフの傾向にあまり大きな変化は見られなかった。
素子数300の場合について見ると、比率10%の図5.13は先ほど述べた素子数200の場合の図5.10よりも、入力パターン数の増加に伴う最大学習成功パターン数の増加の傾向が長く続いている。本実験では素子数300のネットワークに対しては、入力パターン数は400までとしているためそれ以上の傾向は分からない。しかし、入力パターン数400までは全体としては減少の傾向は見られないといえる。比率が30%の図5.14は、ばらついた値となっているが素子数が100の図5.3と比較すると、グラフの傾向の違いは明らかであり、最大学習成功パターン数が減少する際は、緩やかな減少をしていることが分かる。比率が50%の場合も、素子数100、200、300とわずかな変化ではあるが徐々に緩やかな減少となっている。
つまり、最大学習成功パターン数はどちらの素子数の場合でも各比率で値は変わっており、10%が最も多く、次いで30%、50%の順で多くなっていることが分かる。
次に、素子数200、300の場合の各比率ごとの最大完全学習数に注目する。それぞれ表 5.3、表 5.4に各比率における最大完全学習数を示す。そして、これらの値をグラフ化したものをそれぞれ図 5.16、図 5.19に示す。また、5.6.1節と同様に、素子数200の場合ではさらに2回、素子数300の場合では1回同じ実験を繰り返した。その実験の「各比率における最大完全学習数」の結果を、素子数200は順に図 5.17、図 5.18に示し、素子数300は図 5.20に示す。 5.6.1節で素子数100においては図 5.7などのように中央下がりだったグラフの傾向が、素子数200、300においては図 5.16〜図 5.20のようにほぼ水平となっている。乱数の種によっては各比率によって最大完全学習数に多少ばらつきが見られるが、それは乱数によって生成された入力パターンの影響であると考えられる。よって、素子数200、300の各比率における最大完全学習数は、どちらの素子数の場合でも1の比率とは関係なくほぼ同じ値を取ると考えられる。
以上の結果から、素子数を増やすと、最大学習成功パターン数は各比率において値が変化しているのに対して、最大完全学習数は変化しないことが分かる。
1の比率[%] | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 | |
最大完全学習数 | 184 | 195 | 177 | 202 | 199 | 194 | 193 | 188 | 181 | |
55 | 60 | 65 | 70 | 75 | 80 | 85 | 90 | |||
187 | 182 | 176 | 180 | 181 | 178 | 179 | 176 |
1の比率[%] | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 | |
最大完全学習数 | 240 | 260 | 240 | 219 | 251 | 232 | 255 | 256 | 251 | |
55 | 60 | 65 | 70 | 75 | 80 | 85 | 90 | |||
242 | 246 | 244 | 250 | 241 | 249 | 245 | 246 |