next up previous contents
Next: 参考文献 Up: fukuta_ad2 Previous: 実験5の結果   目次

結論

本研究では、逐次学習法において、入力パターンの1の比率の違いやカオスニューロンのパラメータが学習に大きな影響を及ぼす事が分かった。各実験で明らかになった事について以下にまとめる。

まず、ネットワークの素子数100において、1の比率を変化させて学習を行った結果、どの比率でも入力パターン数が少ない内は完全学習ができているが、入力パターンを増やし続けると完全学習は途切れ、その後はどの比率においても学習成功パターン数は急激に減少していく。また、各比率毎の最大完全学習数を見ると、入力パターンの1の比率に偏りがありパターン同士が似ている場合の方が、比率が均等である場合よりも多い値となり、学習は成功しやすくなることが分かった。

次に、素子数を200、300に増やして同様に学習を行った。素子数100において、パターン同士が似ている方が最大完全学習数は多くなったが、素子数を200, 300と増やしたことでその影響はより大きくなった。つまり、1の比率による学習への影響が、素子数の増加により変化したと言える。

また、入力パターン同士が似ている方が学習は成功しやすくなるという結果から、入力パターンの要素を固定して実験を行ったが、逆に学習能力は低下してしまい、要素の固定は学習の向上にはつながらない事がわかった。 この「似ている」という状態に関しては、より詳細に検討を行う必要がある。

最後に、$ \Delta w$ $ \alpha $ の学習への影響について実験を行った。その結果、それらのパラメータを適切に設定することで、学習の大きな向上につながることが分かった。その2つのパラメータに関してはそれぞれ小さな値に設定することが望ましいと考えられるが、ただ小さくするだけでなく、互いの関係からそれぞれを適切な組み合わせの値に設定する必要があるといえる。

そして、その適切な組み合わせは、入力パターンの1の比率を変化させることで、また違ったものとなる可能性があることが分かった。つまり、入力パターンの性質により、ニューロンのパラメータの値をそれぞれより適切な値に変更することが望ましいと言える。

最後の実験の1の比率10%の場合の実験に関しては、まだ詳細な検討がされていない。今後は、まだ学習されていない他の様々な組み合わせを設定して学習を行う必要がある。もしくは、検討済みの比率50%を元に少しずつ比率を変化させていき、その影響の変遷を調べる事で、1の比率と$ \Delta w$ $ \alpha $ の組み合わせとの関係を明らかにできる可能性もある。



Deguchi Lab. 2012年3月12日