next up previous contents
Next: 自然言語処理の必要性 Up: 自然言語処理 Previous: 自然言語処理   目次

自然言語とは

自然言語処理の「自然言語」という表現は、情報処理の分野において、コンピュータで用いる「プログラミング言語」 から、人間が日常用いている言語を区別する目的で用いられている。 したがって自然言語とは、通常我々人間が用いている日本語や英語などのことである。

自然言語はプログラミング言語と比較して、使用可能な表現や形式における厳密な制約がなく、表現の柔軟性が非常に高い。 その反面、解釈する側の柔軟性が必要となるのが自然言語の特徴である。 コンピュータを制御するプログラムを記述するためのプログラミング言語の場合、基本的には、 コンピュータが同じ表現を常に同じように解釈して、同じように制御してくれないと問題が発生する。 そのため、プログラミング言語では一つの表現で複数の解釈を可能にするような表現の曖昧性が許されていないようになっている。

自然言語では例えば、飲食店において「こちらは寿司」、「私は鰻です」といった使い方は、食事の注文時には決して不自然ではない。 この場合、「私は鰻を注文します」という意味で用いられたと注文を受ける側が解釈してくれる。 しかし、異なる場面で「私は鰻です」という表現が出てくると、 聞いた側は「何かが間違っている」と悩む場合も出てくるはずである。

このように、表現および解釈の柔軟性が高いということは解釈する側にとっては多様な解釈の可能性から適切な 解釈を選択する必要があるということである。 多様な解釈が可能な表現は、言い換えると曖昧な表現であり、このような表現の曖昧性が自然言語処理を難しくしている。



Deguchi Lab. 2010年3月5日