next up previous contents
Next: 参考文献 Up: 無題 Previous: 考察・検討

結論

本研究では内部記憶層を持つニューラルネットワークに一時間毎の気温を学習させ、 将来の気温の予測を行った。 学習方法は遅れ学習法を用いた。 そして、1つの値を予測するのに、出力層の1つの素子を用いるのではなく、複数の素子を用いる方法を実験した。 また、結合荷重を変化させる際に用いられる学習係数 tex2html_wrap_inline1341 と安定化係数 tex2html_wrap_inline1359 の選び方によって、 誤差が十分に小さくならない現象が起こる。 これを防ぐため、ネットワークを並列的に学習させる方法も実験した。 そして、この2つを組み合わせた方法も実験した。

始めに、これらの方法が時系列の学習に対して有効かどうかを調べるため、 教師信号として、正弦波を与えた場合の予測を行った。 その結果、これらすべての方法は学習中の誤差を小さくすることに有効であることが確認された。 また、Atype、Btypeの予測方法ともに、普通の遅れ学習法よりも正しく予測を行うことができた。

有効性が確認できたので、これらの方法を用いて気温の予測を行った。 気温をより正確に予測するために、気温の変化に影響を及ぼすと考えられる日射量、降水量などの値も入力させた。 その結果、Atypeの方法で最も誤差が小さかった方法が、遅れ3の合成2の方法で約0.710℃であった。 入力した気温をそのまま予測値として出力したとすると平均誤差は約0.749℃となることから、 少しではあるが、予測が行われていることが分かる。 しかし、気温の大きな変化を予測することが難しく、実用的ではない。 Btypeでの予測は、ほとんどの方法で正しく予測は行えず、 もっとも正確な遅れ3の合成2の方法ですら一年間の平均誤差は約4.174℃であった。

今回の実験では普通の遅れ学習法も含めて6種類の方法で遅れ学習を行った。 その結果、正弦波に対しては工夫をした方が予測が正確に行われたが、 気温に対しては必ずしもそうではないということが分かった。 ただ、出力を分割する方法と、それと並列処理とを合成した方法では 正弦波、気温ともに誤差を小さくしているので、 出力を分割するという方法が時系列を予測する手段として有効であると考えられる。

気温の変化が緩やかな部分は予測が正確にできている部分もあるが、 大きく変化する部分については予測ができていない部分が多かった。 よって、今後の課題としては大きな変化をいかに予測するかということである。 今回の実験では中間層の素子数が20個、内部記憶層の素子数が5個、 遅れ3までのネットワークしか用いていないので、 素子数と遅れ時間をさらに増やしたネットワークを使用するのも有効かと考えられる。 また、教師信号として気温のみではなく、日射量や降水量も与えると、 誤差信号に変化が現われると考えられるので、この方法も有効かと考えられる。

謝辞

最後に、本研究を進めるにあたり一年間を通して多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く感謝致します。 また、同研究室において多くの助言をいただいた専攻科の古田彰吾氏、同研究室にてともに学んだ家入悠至氏、神戸陽介氏に深く感謝致します。



Deguchi Lab.