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Next: 参考文献 Up: 無題 Previous: 5.3.4 入力パターンによる特性

第6章 結言

カオスニューラルネットによる学習法として逐次学習法を用い、カオスニューラルネットワークに未知のパターンを入力として与え学習をさせた。

以前の研究ではネットワークへの入力としてアルファベットの大文字と子文字を用いたが、本研究では偏りや類似性を減らすため、黒と白の部分がランダムに作られたパターンを用いて学習を行なった。

基準となる学習条件を繰り返し回数10回、学習回数100回として学習を行なった。学習個数特性実験では両方とも基準条件で行なった。繰り返し回数特性実験では学習回数を一定にして実験を行ない、学習回数特性実験では繰り返し回数を一定にして実験を行なった。ランダムに作られたパターンでもばらつきがあり、安定しないため5回の平均値をとった。繰り返し回数特性実験と学習回数特性実験ではその平均値に最も近いパターンを代表パターンとして実験に用いた。

学習個数特性としては、学習成功個数は限界値まで上がった後に飽和するのではなく、そこからがくっと低下して、最終的に約10個位で収束する特性が得られた。これにより、カオスニューラルネットには、最大で学習できる値と学習個数を多くしても必ず学習できる値があるということが分かった。

繰り返し回数特性としては、繰り返し回数を増加していくと、約20回くらいまで学習成功個数は急激に伸びているが、30回位から伸びがほとんどなくなり、50回位でほぼ飽和している。これより、繰り返し回数により学習成功個数の増加が可能であるが限界値がありそれ以上はいくら繰り返しても無理であることが分かった。

学習回数は繰り返し回数と同じく、一つ一つのパターンを学習させるパラメータである。しかし繰り返し回数特性とはことなる結果が得られた。限界値までの値では繰り返し回数特性とおなじように増加するが、限界値を大きく越えている場合は、学習回数は少ない方が他のパターンへの収束を減らし、学習効率を上げている。

入力するパターンによる特性として、基準条件では10個、40個などの白か黒に偏ったパターンを用いると学習効率が悪くなり、他よりも早く限界値に到達してしまうが、繰り返し回数を増やすことにより、残りの少ない部分が特徴として抽出され他よりも多く学習させることが可能なことが分かった。

これらの学習実験より、入力するパターンに偏りや類似性が少なく、際だった特徴が多く見られない学習をすると仮定するならば、繰り返し回数は20から30回、学習回数は30から50回、入力するパターン数は40から50個位の時に安定して高効率の学習が出来ることがわかった。

またこれらの特性を活かし、入力するパターンによって繰り返し回数や学習回数を調整すれば学習の高効率化を図ることが可能となる。

謝辞

最後に、本研究を進めるにあたり、一年間を通して多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く感謝すると共に、同研究室において助言をいただいた専攻科の浅川新也氏、山田博久氏、畑中誠氏、また、同研究室において共に学んだ寺井豊氏、森田治彦氏に厚く御礼申し上げます。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 13:13:35 JST 2000