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5.3.4 入力パターンによる特性

5.3.1節や5.3.2節で調べた実験について、入力するパターンの黒い部分の数による特性について述べる。図5.205.3.1節で行なった実験の平均値をまとめたもので、比較、検討しやすくするため、黒い部分が15個の時と黒い部分が35個の時の結果は除いてある。これは学習させる数を増やした時の学習成功個数の変化を、入力パターン別に示した。

5.215.3.2節で行なった実験の平均値をまとめたもので、こちらも比較、検討しやすくするため、黒い部分が15個の時と黒い部分が35個の時の結果は除いてある。これは繰り返し回数を増やした時の学習成功個数の変化を、入力パターン別に示したものである。

5.225.3.1節で使用したパターンの平均のそこまで100%で学習が出来ている最大の個数をまとめたものである。また、図5.235.3.1節で使用したパターンの平均の最も学習が出来ている最大の個数をまとめたものである。図5.245.3.2節で使用したパターンの最も学習が出来ている最大の個数をまとめたものである。それぞれ入力パターン別に学習成功個数の変化を示してある。

   figure441
図 5.20: 入力パターンによる特性グラフ1

   figure448
図 5.21: 入力パターンによる特性グラフ2

   figure455
図 5.22: 入力パターンによる特性グラフ3

   figure462
図 5.23: 入力パターンによる特性グラフ4

   figure469
図 5.24: 入力パターンによる特性グラフ5

5.20についてみてみると、どれも同じような特性を持っているが、黒10個と黒40個のときは他よりも早く低下の動きを見せている。これは黒もしくは白の割合が多過ぎるため似ていると判断されてしまうのが原因ではないかと考えられる。しかし、最終的にやはり10個程に収束している。

次に図5.21についてみてみると,やはり黒10個と黒40個のときは他よりも立ち上がりが悪いといえる。しかし、繰り返し回数を増やしていくと、最終的に飽和した時に、他よりも多い数の学習に成功している。この現象は前の現象と逆になっている。原因を考えてみると、繰り返し回数を増やしていくことにより、少ない部分が特徴として認識されやすくなり、他よりも多い数の学習に成功するのではないかと考えられる。

これらの特性より、黒と白のバランスがほぼ同量にとれている時は、平均的に安定した学習特性が得られ、黒と白の割合が頼っている時は、繰り返し回数を増やして特徴をとらえると多い数の学習に成功するのだといえる。

5.22と図5.23についてみてみると、凸型のような形になっていて、両側が少し下がっている。これは前述のとおり、パターンが似ていると判断されてしまうため、学習成功個数が少ないのだといえる。しかし図5.24についてみてみると、凹型のような形になっていて、両側が少し上がっている。なぜこのような逆転特性が得られたかを考えてみる。これは、繰り返し回数による特性で述べたことの応用になるが、繰り返しの回数が多くなるとそれぞれのパターンを何度も確認、認識することができ、なんども繰り返すことにより、それぞれのちがいを見い出すことが出来るようになる特性がよく出ているのだが、なぜ逆転特性が得られたかというのは、黒と白の割合が偏っている時は、ほとんど黒またはほとんど白ということになるが、これをちょっと見方を変えると、少ししかない部分が逆に他に比べて目立ったものとなる。すなわちこれはパターンにおける特徴といえる。そのため、なんども繰り返すことにより、パターンごとの特徴を認識することができ、多い数の学習に成功するのだと思われる。しかし、黒と白のバランスがほぼ同量にとれている時は、その特徴が見にくいために学習成功個数が伸びないのだと思われる。そのため逆転特性が得られたと考えられる。



Deguchi Toshinori
Thu Jul 13 13:13:35 JST 2000