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5.2.3 比較・検討方法

  ここでは、 学習結果の比較・検討方法の説明をする。 比較は、学習結果が教師信号からどの程度離れているかを調べることによって行なう。 その具体的な方法を以下に述べる。

  1. まず、カオスアトラクタを数点ニューラルネットワークに学習させる。
  2. 学習が終了した直後の各重み、しきい値、教師信号を保存しておく。
  3. 2.の学習結果から得られた重み、しきい値を持つニューラルネットワークにおいて、同じく2.で得られた学習直後の教師信号を初期値として与え、実際に t 点動かし教師信号からどの程度ずれているかを調べる。
  4. 横軸に t 、縦軸にニューラルネットワークの出力と教師信号との距離の累計をとりグラフを描く。
  5. 4.で描いたグラフの形より、学習がどの程度正確に行なわれたかを検討する。
  6. 学習回数を変えて、それによってどのようにグラフの形が変わるかを検討する。

学習させたニューラルネットワークに初期値として学習させた直後の教師信号を与える理由は、 カオスアトラクタの一度通った点は二度と通らないという特徴を考えると、 学習直後の教師信号を初期値で与えれば、 まだ学習を行なっていない未知の点についてその学習効果を確かめることができるためである。 即ちこれは、 ニューラルネットワークがカオスアトラクタの点を学習しているのではなく、 式のダイナミクスを学習しているかどうかを確かめるということになる。

また、 ネットワークの出力と教師信号の誤差は、 ある時間 t における写像の中にあるその距離を考える。 この誤差(距離)を tex2html_wrap_inline1307 とし、ネットワークの出力を x(t)、y(t)、 教師信号を tex2html_wrap_inline1313tex2html_wrap_inline1315 とすると

  equation356

となる。 グラフは、 t を横軸、 誤差の累計 tex2html_wrap_inline1319 を縦軸にして描く。 tex2html_wrap_inline1319 は次式によって表される。

  equation360

この ER より、 どれだけの点の位置を学習できているか、 即ちどの程度式のダイナミクスを学習できているかが分かる。



Deguchi Toshinori
1996年11月26日 (火) 09時21分43秒 JST