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第6章 結言

  本論文では、 離散時間モデルのニューラルネットワークに差分方程式のカオスアトラクタを学習させるために、 バックプロパゲーションという学習則を用いて学習のアルゴリズムを提案し、 実際にそのニューラルネットワークにエノン写像の学習をさせ、 その効果を確かめた。

実際のシミュレーション結果より、 本実験に使用したパラメータの中では、 tex2html_wrap_inline1145tex2html_wrap_inline1405 において 500 万回学習を行なった時の結果が最も良く、 エノン写像のダイナミクスを最も学習することができた。

また本論文では、 一つのネットワークに二つのカオスアトラクタを同時に学習させる方法についても提案し、 実際にエノン写像と折り曲げ模様の写像を学習させ、 その効果について論じた。 この実験では、 四通りの教師信号をネットワークに与えシミュレーションさせたが、 なかでも教師信号に、 写像のダイナミクスの他に現在学習中の写像の式の定数を与えた時には、 学習効果が最も高く、 正確な点を出力するのは十数点であったが、 式のダイナミクスはほぼ学習することができた。

今後の課題としては、 その他の様々なアルゴリズムを検討して、 より複雑なダイナミクスを持つカオスアトラクタを学習させることや、 複数にカオスアトラクタをより精度良く一つのニューラルネットワークに学習させることなどが挙げられるが、 今後の研究によりこれらの課題が実現することを期待したい。

謝辞

最後に、 本研究を進めるにあたり、一年間終始多大な御指導を賜わりました出口利憲先生に深く感謝致します。

また、 同卒研室の同士であり一年間共に研究を進めてきた 板生 成弘氏、 後藤 義貴氏、 舘 智司氏 に深く御礼申し上げます。



Deguchi Toshinori
1996年11月26日 (火) 09時21分43秒 JST