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第1章 はじめに

この研究で題材にされている「カオスニューラルネット」は、 「ニューラルネット」の一種であり、 それは、たくさんの「ニューロン」からなるネットワークである。 「ニューロン」とは脳内の神経細胞や、そのモデルのことをさすが、 この研究では、「ニューロン」は、神経細胞のモデルを指すことにする。

ニューロンはたくさんの入力を受けとり一つの出力をする素子である。 一般に入力に対し出力をするものは、増幅器やコンピュータなどたくさんあるが、 これらは、その機能を果たすために、 いろいろな機能の素子が複雑につながってできている。 これに対し、ニューラルネットは、単純な機能の素子(ニューロン)が 単純につながってできてる。 この単純なものが、脳のように柔軟で複雑な情報処理をすることができるのである。

ニューラルネットは、脳内の神経細胞をモデルにしているので、 文字認識、画像認識、などのコンピュータには難しいとされる、 人間のような、柔軟な情報処理ができる。 しかし、ニューラルネットは単純なモデルなので、人間ほど高度なことはできない。 なにより、現在のコンピュータでは、 シミュレーションできるニューロンの数には、限りがある。 しかし、人間の脳には何百億もの神経細胞がある。 そこで、ニューロンをより本物の神経細胞に近付けることで ニューラルネットの性能を向上しようという試みが行なわれた。 そこで考案されたものの一つがカオスニューロンである。

カオスニューロンは同じ入力を受けても、違う出力をすることがある。 このように出力は無秩序(カオス)である。 実際の脳の神経細胞の出力も無秩序である。 出力がカオスになる理由の一つとして、 過去の入力が出力に影響していることがあげられる。

このことを利用し、この研究では、 カオスニューラルネットに音楽の一部を入力して、その続きもしくは、 新しい音楽を出力することを目的としている。

そのために、必要な基礎知識を得ることからはじめたので、 まずそのことについて説明する。



Deguchi Toshinori
1999年03月23日 (火) 15時43分49秒 JST