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カオスとは

カオス(chaos)とは, 日本語では「混沌」や「無秩序」といった意味を持つ。 カオスについての研究は19世紀末から20世紀初頭にかけてのポアンカレ(Poincare)の研究に始まるが、一般的に広く知られてくるのは1970年中ごろで本格的な研究が始まってまだ20年あまりしか経っていない。

カオス現象は日常生活でもごくごく当たり前に見ることができる。羽の落下運動、煙の動きなどがその例である。

現代において、このカオスという言葉は科学の世界でも使われるようになってきた。 複雑系科学を語る上でカオスというものは必要なものとなっている。 カオス理論は未だに発展途上の分野でありカオスというものについて具体的に定義することは難しい[1]。 いろいろな研究者によってなされている定義を要約すると「決定論的非周期振動現象」となる。 すなわち、決定論とは破ることのできない不変の法則からなる系という意味であり、非周期振動とは偶然によって作用される、確立論的な運動という意味である。 つまりある式で表されるにも関わらずその解は予測ができない非周期的な振舞いということである。

具体的な例として次のような系を考える。

  equation97

   figure101
図 3.1: カオス的挙動を与える入出力特性

nは繰り返し回数で離散的な値をとり、また tex2html_wrap_inline1058tex2html_wrap_inline1060 はそれぞれn回目の入力、出力である。 この系の入力と出力の関係は図 3.1 のようになる。

また式(3.1) の初期値 tex2html_wrap_inline1064 を0.60000、0.60001としnを50とした時の出力の変化を見てみると、図 3.2 の(a)、(b)のようになる。

   figure112
図 3.2: 初期値のわずかな違いで起こる系の挙動変化の様子

各点がn回目の出力を表し、点線で各点間を補間した。 n=15くらいまではほぼ同じような振舞いを見せるが、回数が増えるに従って全く違う振舞いを見せる。 初期値は10万分の1の違いではあるが 系の振舞いに大きな影響を与えている。以上のことからカオス現象とは式のように、不変のもので表されるが、わずかな誤差で、その後に大きな影響を与えるものだといえる。



Toshinori DEGUCHI
2003年 4月23日 水曜日 17時51分42秒 JST