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ニューロン

ニューロンとは神経細胞である。その構造は本体である細胞体、入力面となる樹状突起、出力面である軸索からなる。 軸索は多数に枝分かれしており、その末端部分は球状になって他のニューロンの細胞体や樹状突起に付着している。 この付着部分がシナプスである。図 2.1 はニューロンの構造である。

   figure10
図 2.1: ニューロンの構造

一般に細胞にはそれを包む細胞膜の内外では電位差が存在する。 ニューロンも同じである。 細胞膜の一点で電位差が起こると、その変化は細胞膜を伝わっていくが、遠くなるほど膜電位の変化は小さくなる。 しかし軸索の細胞膜は、もし電位差変化が十分に大きいとパルスを発生し、その電位差は減少することなく伝わっていく。 そして、出力されたパルスは他のニューロンの入力となる。 これらの性質はニューロンの基本的な性質であり、この性質から提案されたニューロンモデルが図 2.2 のマッカロとピッツのモデルである。

   figure19
図 2.2: ニューロンのモデル

この図の tex2html_wrap_inline1024 は対象となる i ニューロンからの入力であり、1か0かのパルス信号である。 また tex2html_wrap_inline1028i 番めのニューロンからのシナプス結合の強さであり、結合荷重と呼ばれる。 tex2html_wrap_inline1028 が正であれば興奮性シナプスを表し、負であれば抑制性シナプスを表す。 入力が1か0なので他のニューロンからの入力があった時、ニューロンの内部状態は tex2html_wrap_inline1028 変化することになる。 また、結合していない時の tex2html_wrap_inline1028 は0となる。 tex2html_wrap_inline1038 はしきい値と呼ばれるもので、ニューロンの興奮のしやすさを表す。 内部状態がこの値を越えるとニューロンは興奮し、この値以下であれば興奮しない。 yはニューロンの出力である。 以上のことをもとにニューロンの興奮の条件を式に表すと次式のようになる。

   eqnarray27

式(2.1) において、uは膜電位、もしくは内部ポテンシャルと呼ばれる。 各入力と結合荷重との積の総和がしきい値を越えたとき、ニューロンは興奮する。 ニューロンモデルの各入出力は1もしくは0の値であり、1はニューロンが興奮している状態、0は静止している状態である。 また、出力関数は次のように与えられる。

  equation36

また、そのグラフは階段関数であり、図 2.3 となる。

   figure45
図 2.3: 階段関数

この出力関数はマッカロとピッツのモデルで用いられておりその特性は離散的である。 また、カオスニューラルネットやバックプロパケーションに用いられる出力関数に、シグモイド関数がある。 シグモイド関数は以下の式で与えられる。

  equation53



Toshinori DEGUCHI
2003年 4月23日 水曜日 17時51分42秒 JST