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考察・検討1

サーチアクセスで望まれる理想的な動的想起の状態は、

の条件に当てはまるように想起できることである。

このことと実験結果をてらし合わせてどの抑制値が適しているか調べてみる。 まず完全なパターンが数多く現れているのは図 7.1 より抑制値が1の時、つまり抑制を制限してない状態である。 これは抑制値とは、その値と前のニューロンからの信号の積を 次のニューロンに加えるのだから、抑制値が1に近いほど前のシナプスからの信号を そのまま伝える。 だから、抑制値を0から1に近づけて行くほど完全なパターンを 想起する数が増えると考えられる。 特定のパターンに偏りなくというのは同じく 図 7.1 の標準偏差より分かる。 標準偏差は平均値からのばらつきを表すものだから、 この値が小さいものほど想起パターンに偏りがないことを表す。 つまりこの場合は、抑制値が1のときが最も想起するパターンに偏りがないと分かる。 この2つの条件で見る限り、抑制値が1の時つまり抑制しない時が 最もサーチアクセスに適した想起状態になることが分かる。 3つ目の条件の学習させた全パターンを早い時間でというのは 図 7.2から、抑制値が0.19の時が87回目の想起で最も早い。 しかし抑制値が1の時も、198回目の想起で全てのパターンの想起を完了しており 悪くは無い結果となった。

以上のことを考慮すると抑制値が1の時が最も 理想に近い想起状態になることが分かる。 シナプス前抑制を一定の値として加えても、 抑制値を加えない場合より良い想起状態の実現は出来なかった。 次に抑制値の範囲変えて実験を行なうことにする。



Toshinori DEGUCHI
2004年 3月22日 月曜日 09時50分50秒 JST