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3.2 逐次学習法

 

この逐次学習法というのは相互結合型ニューラルネットの学習法である。 各々のニューロンは自分自身の内部状態により結合荷重を変化させて学習する。 学習というのは未知のパターンを入力された場合に そのパターンを想起できるように結合荷重を 変化させるということである[7]。 ここで結合荷重を変化させる条件を式(3.1)に示す。

  equation227

この式が成立した場合、ニューロンは式(3.2)の形式で 結合荷重を変化させる。

  equation231

式(3.1)の tex2html_wrap_inline1078 は外部入力の項で、 tex2html_wrap_inline1080 は相互結合の項で、 tex2html_wrap_inline1082 は不応性の項である。 この三つの項で、相互結合の項が、外部入力の項と異符合であるとき、 二つの項が同符合になるまで結合荷重を変化させる。 二つの項、相互結合の項と外部入力の項が同じ符合になるように 結合荷重を変化させるということは、 2.3節で述べたエネルギー関数の極小点に向かおうとする力と、 外部入力による入力されたパターンに近付こうとする力が同じ 向きに働くということであり、これにより次回のパターンの想起が 早くできるようになる。 結合荷重の変化は相互結合の項にのみ影響を与える。

次に、式(3.2)により結合荷重を変化させる方法を説明する。 まず、i番目のニューロンの外部入力項とj番目のニューロンからの 出力の積を算出し、その値が正の値を示す場合、 tex2html_wrap_inline1088 し、 逆に負の値を示す場合には tex2html_wrap_inline1090 する。 これは、Hebbの学習仮説の応用を用いたものである。 つまり、ニューロンが互いに興奮、または静止状態にあるときには ニューロン間の結合を強め、互いの状態が違う場合には、 ニューロン間の結合を弱めているのである。 これを繰り返していくことによりネットワークは学習を進めていく。

相互結合の項と外部入力の項が同じ符合になるように結合荷重を 変化させていくことは書いたが、両者が同符合になってから ある程度の時間がたった場合、外部入力の項と反対の符合の不応性の項 の影響が大きくなり、相互結合の項よりも不応性の項の値が絶対値で大きくなる。 ここで再び式(3.1)が成立し、相互結合の項は 不応性の項より絶対値が大きくなる。 これにより、一度学習を行なうための条件式が成り立たなくなり 学習を終らせてしまったニューロンに再び学習をさせることができるのである。 こうして学習を続けさせることで、ニューロンはより強く学習し、 より忘れにくくなっていくのである。



Deguchi Toshinori
Wed May 15 13:12:15 JST 2002