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一般化デルタルール [6]

本研究におけるニューラルネットワークの学習は、 バックプロパゲーション法(back-propagation,誤差逆伝搬法) を用いた。 まずバックプロパゲーションについて説明する前に、 一般デルタルールについて説明する。 ある素子 j の入力総和 tex2html_wrap_inline1523 は、他の素子 i の出力 tex2html_wrap_inline1527 と、 重み tex2html_wrap_inline1529 をかけて加えたものである。 また、出力 tex2html_wrap_inline1531 は入力の総和に単調増加関数 f に 代入したもので表されることにする。 即ち、

  equation174

と表せる。ただし、閾値は重みの一つとして含まれていると考える。 ここで、出力関数 f はシグモイド関数を用いることにする。 これは微分可能な関数であり,解析的に問題を解くことが可能になるからである。

次に、神経回路における学習を一般化して考える。 tex2html_wrap_inline1537 はある入力 c に対して 出力素子 j が出すべき望ましい出力、 tex2html_wrap_inline1543 はその時の出力素子が実際にした出力である。 この時の学習評価として、次のような「誤差関数 E」を

  equation181

となる。このような形の誤差関数を最小にする手続きを一般に 「最小2乗平均誤差法」(least mean square ,LMS)という。 tex2html_wrap_inline1547 はその時の素子間の結合の強さ、 すなわち重み tex2html_wrap_inline1529 で決まるため、 誤差関数も重みに関して陰(implicit)に定義された関数となる。 したがって、各重みの値を軸としてできる空間を考え、 さらにこの誤差関数 E によって定義される値を高さと考えれば、 E は重み空間上の超曲面として「誤差曲面」を与えることになる。 任意の重み状態から,この誤差曲面の極小値に達するには、 例えば各重みを、 tex2html_wrap_inline1555 に比例した量

  equation193

ずつ変化させていけばよいことになる。 これは誤差曲面上を最も急な傾斜方向に進んでいくことに相当し、 このような学習則を一般に 「最急降下法」(gradient decent method)という。

さて、式(4.1)のように素子の性質が定義されていれば、 式(4.3)は合成関数の微分公式により、

equation201

と展開できる(添字 c は省略)。 式(4.1)を微分して代入すれば、

  eqnarray212

であるので、結局式(4.3)は、

  equation220

となる。中間層が学習しない場合、 tex2html_wrap_inline1559 の項は 式(4.2)を微分することにより簡単に

equation227

と求めることができるので、式(4.7)より、

equation233

という学習則が得られる。 これを一般化デルタルールと呼ぶ。



Deguchi Toshinori
Wed Feb 21 11:55:53 JST 2001